プロジェクト詳細
八王子市シルバーふらっと相談室 館ヶ丘
団地住民の暮らしにどれだけ安心感を提供できているか。事業効果を、目に見える形に。
高尾山の大自然に抱かれるようにして建つ、八王子・館ヶ丘団地。歩いても歩いても端にたどりつかないほど広い敷地内には、約2800戸を有する住宅棟のほか、商店やスーパーマーケット、保育園、小・中学校、公園までがそろっています。
団地が築40年ほどを迎えて居住者の5割以上が高齢者となった状況に対応するため、敷地内の一角に八王子市が相談室を開設したのは、2011年5月のこと。室長に着任した今泉さんは、すぐに館ヶ丘団地の深刻な現実を目の当たりにします。
「団地内にごみが無造作に捨てられていたり、挨拶もせずに住民の人たちが通り過ぎていったり。これでは福祉や奉仕活動をしようとしても、うまくいかないと思った。私は民間企業での勤務経験があったので、サービスをする側・される側ができるだけ対等な活動をしようと考えました」
そこで今泉さんはたった一人で、まず情報収集と整理を始めます。団地の地理的特徴、どんな人が多く住んでいるのか、活用できそうなインフラ、資源は何か。これもビジネスの世界では当たり前の、マーケティングの手法のひとつです。
そんな中、ひとつの転機が。市から「熱中症予防の呼びかけをしてほしい」との依頼があったのです。多くの人を巻き込むチャンスだと思った今泉さん。周辺に大学が多いことはリサーチ済みでした。早速協力を呼び掛けたところ70人を超す学生ボランティアが集結。夏休み中の教員の皆さんも参加して300件以上の高齢者宅を訪問し、生活状況についての聞き取りを実施。団地内に給水所を設けて熱中症予防の呼びかけも行いました。
「この活動により、高齢住民の実際の様子や空室状況を把握することができ、相談室の存在も知ってもらえた。学生との連携、地域住民同士の交流のきっかけになり、私たちが取り組むべき課題も見えてきたのです」と、今泉さんはその時の手ごたえを話してくれました。
熱中症予防事業は、現在では「おむすび計画」として発展。毎年8月、寄付で頂いたお米で地元のお母さんたちが作ったおむすびで栄養補給しながら、学生や地域住民が協力して高齢者宅の戸別訪問・見守り活動をしています。
地域のつながりを作るため、相談室の隣に開設したカフェは住民と情報が集まる拠点へと成長。そこからサークル活動や多世代交流の機会が多数生まれています。本業の相談室の利用者も増え、毎月50件以上の相談を受けるようになりました。
地域住民や学生、子どもたち、ボランティアの皆さんを巻き込んで、一緒に活動を作り出してきた今泉さん。ところがその効果は、相談件数などは数値で表せても、地域のネットワークがあることの安心感や、地域活性化がもたらす住民の心理面への影響などは目に見えにくいものです。
「今までの事業効果をできるだけ可視化し、連携機関や地域住民にも共有することでさらなる好循環を作りたい」と語る今泉さんと、プロボノチームが、タッグを組んでチャレンジします。
(本記事は2016年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)
団体基本情報
- 団体名
- 八王子市シルバーふらっと相談室 館ヶ丘
- 活動開始時期
- 2011/平成23年5月
- 代表者名
- 今泉 靖徳 さん
- 所在地
- 東京都八王子市館町1097-2-5-101
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進捗率
進捗状況
チームメンバーが決定しました。
チャレンジングなプロジェクトに期待と不安が入り交じりながらも、楽しみです!
キックオフ事前ミーティングを実施しました。
キックオフミーティングを実施しました。
活動現場体験・見学を実施しました。
対象事業・商品・サービス等の現状把握を実施しました。
内部ヒアリングを実施しました。
対象事業・商品・サービス等の評価や期待される成果の整理を実施しました。
評価の枠組みと方法論の調査・検討を実施しました。
調査方針提案を実施しました。
提案に対するフィードバックと承認を実施しました。
総勢20名以上の館ヶ丘団地関係者へのインタビュー調査の結果をもって臨んだ中間報告。 第三者の客観的な視点から関係者の意見を幅広く聞けたことは非常に有益だった。と代表今泉さんからのありがたいお言葉。相談室、カフェスタッフにとっても活動を振り返る良い機会になったものと確信しています。 翌週は、団地全住戸に対して団地生活に関するアンケート票の配布を実施。全住戸2000世帯への配布はプロボノ史上でも稀に見る大仕事。 当日は、相談室職員・住民ボランティア・学生ホランティア総勢20名以上のご協力を頂き、なんと3時間かからずに、封入・配布作業を完了! アンケートの結果を待つまでもなく、館ヶ丘団地の団結力の強さを感じた1日でした。 事業評価プロジェクトもいよいよ後半戦に突入します。
配布したアンケートを回収し、入力作業を進めています。このあと結果を分析して報告書にまとめていきます。
外部ヒアリングを実施しました。
事業成果の分析・評価を実施しました。
調査報告を実施しました。
成果
大規模な調査プロセスを乗り越え、相談室の存在や活動がコミュニティ全体にもたらしている好影響を、初めて目に見える形で証明。
団地住民はじめ周辺地域の学生、地域のボランティアの皆さんなど、多様な人とのコミュニケーションによって形成する「場」(=コミュニティ)として、ふらっと相談室が住民や地域の中においてどのような機能を担っているのか、どんな効果をもたらしているのか、それを目に見える形で知るために今回のプロジェクトは始まりました。
プロボノチームは、コミュニティを評価する指標として、「信頼」、「規範」、「ネットワーク」で構成するソーシャルキャピタル(=社会組織の特徴)を定義しました。ふらっと相談室の存在や活動が、各構成要素をどのように形成していて、どんな影響をコミュニティに与えているのかを明らかにするため、全住民を対象としたアンケートや数多くのヒアリングを実施し、数値で測ることとしました。
これらの調査結果を通じ、ふらっと相談室を訪れたり、活動に参加したりしている人の方が他の社会活動への参加率が高い・団地内での顔見知りの数が多く団地住民に対して信頼を感じている人が多い・団地生活における満足度が高い、といった数値が明らかに。ふらっと相談室の存在や活動が、「信頼」、「規範」、「ネットワーク」に好影響をもたらしているということが証明される形となりました。普段相談室に寄せられる相談件数だけでは読み取ることができない、客観的な、これからのコミュニティ運営に役立つ、とても有益な情報が得られたのです。
プロジェクトに参加した住民からは、「ふらっと相談室への理解が深まり、今後はより積極的にコミュニティに参加したい」、八王子市の担当者からは「コミュニティ作りにおいて具体的な指標がわかった」などの感想を頂きました。また、ふらっと相談室を運営する、室長の今泉さんからは「ようやく通信簿をもらえた気持ち。貴重な提言を頂きました。是非とも2回目のプロボノプロジェクトを依頼したい」という嬉しいコメントも。今後の改善や推進に繋がるモチベーションになったようです。
膨大なアンケート量や関係者の多さから、簡単な調査プロジェクトではありませんでしたが、第三者であるプロジェクトメンバーとふらっと相談室の人たちが、最初の目標設定からぶれることなく、最後まで相互に協力的に進められたからこそ、今回のプロジェクトの素晴らしい結果を得ることができました。
チームメンバー
- アカウントディレクター
- 田中さん
- プロジェクトマネージャー
- 高見さん
- ビジネスアナリスト
- 能重さん 本木さん 永瀬さん 篠倉さん