2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

東京ホームタウン大学院

主体的な社会参加を広げるには? “東京のこれから”を共に考える
2020年度 東京ホームタウン大学院セミナーレポート

2020年6月13日(土)13:00-15:30
オンライン開催
2020年8月31日

登壇者:
・服部真治氏(医療経済研究機構 研究部 主席研究員・さわやか福祉財団エグゼクティブ・アドバイザー)
・日俣賢太郎氏(東急不動産株式会社 ウェルネス事業ユニット 事業戦略部 業務推進グループ グループリーダー)
・田中洋氏(プロボノワーカー/コンサル会社勤務 起業準備中)
・浦田愛氏(社会福祉法人 文京区社会福祉協議会)

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高齢化のなかで大きな変化を迎える“東京のこれから”を考え、創造していくことを目指して「東京ホームタウン大学院」が始まりました。
入学説明会を兼ねたセミナーでは、医療経済研究機構の服部真治氏による高齢社会の現状に関する俯瞰的な目線に立った問題提起から始まりました。その後、昨年度実施したライフシフトプロボノ参加者でもあり、大企業において事業戦略を担う日俣賢太郎氏、プロボノワーカー経験を経て起業準備中の田中洋氏、社会福祉協議会の立場から居場所づくりをサポートしている浦田愛氏の3名が加わり、パネルディスカッション形式で「東京のこれから」について語り合いました。


服部 真治氏(以下、服部氏):
本日のテーマのひとつが地域包括ケアシステムですが、私はそれを専門としています。以前は八王子市と厚生労働省で、介護や高齢者支援の仕事をしていました。いまも全国の様々な自治体や地域の方と関わる機会が多く、その観点からお話をしていきたいと思います。

まずは、東京の高齢化の現状を確認したいと思います。
2015年の人口を基準として、この後どう動いていくか、というグラフです。これを見るといつも、東京は危ない、と感じます。これだけ一極集中と言われる東京ですが、生産年齢人口が落ちている。一方で、75歳以上は右肩上がりです。このギャップが広がっているのが東京の高齢化です。

このような未来において、最も深刻な課題が、人材がいないことです。
昨年、厚生労働省が発表したデータによると、リーマンショック以降、介護関係職種の有効求人倍率はあがっており、現在はなんと3.95倍。都道府県別にみると、東京はなんと6.05倍。尋常ではない数字です。この先、ますます需要と供給のギャップが広くなり、介護保険料を払っていても、介護サービスを利用したい時に使えない人がますます増えていきます。

「自発的に社会参加できるような東京を作れるか」が問われている

65歳以上の人を生産年齢人口(15歳から64歳)の人々で支えるという、お神輿を想定してみると、だんだんと分母の部分、つまり支える人が減っていきます。いずれはお神輿ではなく肩車のような状態になります。これを改善するには、支える側を増やすというよりは、65歳以上は支えられる側、という考え方を変えていくことが大事なのではと思います。
65歳を超えたからと言って、その人は支えられる側なのだろうか。高齢であっても健康な人は、支える側に回るようなことができないかということです。

そうした文脈の中で地域包括ケアシステムがあります。地域包括ケアシステムでは、生活支援や介護予防の担い手として、老人クラブ、自治会、ボランティア、NPO等を想定しています。地域のさまざまな組織、団体が、生活支援や介護の担い手になってくれないかということ。まさに今日のテーマに重なります。

高齢になっても、今までどおり買い物や食事、掃除を自分でして、自分の家に住み続けたい。そのためには、医療や介護が必要な状態にならなければいい。
高齢による衰弱、つまり「フレイル」は、社会とのつながりを失うことが最初の入り口となります。「フレイル・ドミノ」と言ったりします。
運動習慣はないけれど文化活動・地域活動をやっている人と、運動習慣はあるけど文化活動・地域活動をやっていない人。どっちの方がフレイルになりやすいか、という面白い研究があります。じつは、前者の方がフレイルになるリスクが低いのです。こうしたことを踏まえると、地域活動で会長さんが見つからないと聞きますが、むしろフレイル予防のためにも会長になった方がいいと言えるようになってきています。
また、3年後の生活機能維持を見たとき、やりたくないけどボランティアに参加している人と、やりたくないから参加していない人は、実は結果はあまり変わりません。大切なのはやっているかどうかよりも、自発的かどうかです。いかに自発的に社会参加をしていけるような東京を作っていけるかが問われています。

地域包括ケアシステムは誰がつくるのか?

ひとつ、問題提起をしたいと思います。地域包括ケアは誰がつくるのですか?
こういうと市町村や都道府県が担い手になります。ただ、つくり方が難しい。行政が設計して地域住民の自主性や主体性に基づいてやってもらうという仕組みづくりは、なかなか行政目線だけでは難しいのです。
さらに、地域包括ケアにおいては、ケアマネなどの専門職が、地域の医療や生活支援、介護支援などいろいろな資源を組み合わせるという立て付けになっています。ただ、専門職は、いろんな資源を結び付けるのを得意としていません。

そこで、イギリスの「コ・プロダクション」という考え方をご紹介します。サービスの提供と企画におけるユーザーと事業者・専門職の役割を整理したものです。
図の左上のような、事業者や専門職が単独で企画して、単独で提供する、というのが一般的なサービスです。また、右下のように、行政などの地域のコミュニティが企画して、地域コミュニティ自身がサービスを提供することもあります。
地域包括ケアシステムの場合は、そのどちらでもなく、「この地域の生活支援やサービスを維持していくために、自分たちはどういうふうに買い方、売り方を変えられるのか」という企画段階から事業者・専門職と地域のコミュニティが話し合い、そして、サービスを使う時は、買う側も工夫して参加することが求められています。こうした地域づくりができているかどうか。みなさんにも、そのような視点から地域を見ていただきたいと思っています。


東京ホームタウンプロジェクトの支援先、参加者、協力団体などをご紹介します。

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