東京ホームタウンSTORY
東京ホームタウン大学講義録
超高齢社会、自分らしく生きるための地域とは
「東京ホームタウン大学2022」
メインセッションレポート
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「地域」の考え方はさまざまに。人がいるところが「地域」にも
広石:ほかにも、参加者の方からは「地域ってどういう範囲ですか」という質問や、「地域ってどういうことを指しているのかが、人によって違うんじゃないか」といったご指摘をいただいています。秋野さんにとっての「地域」って、どんなイメージですか?
秋野:私は人がいるところは地域だと思っていて、どこからどこまでと区切るものではないと思っています。今はSNSで海外とだってつながれるわけですから、それも地域になってくるような時代なのではないでしょうか。
広石:なるほど。それも素敵な考えですね。もしかしたら秋野さんにとっては東北だってつながりがある人がいるところは自分にとっての地域だし、ご近所の商店街も地域だし、そういう捉え方をしてもいいんじゃないのかなって、素敵ですね。ありがとうございます。
服部:いろいろあるって考えるのがいいと思います。例えば、自治会活動において高齢化が進んでうまくいかなくなってきた問題があったとしたときに、近くに住んでいるから助けなきゃいけないっていう部分もあるけれども、秋野さんのように興味や関心でつながっている活動というのが新たに生まれてきているわけです。なので、地域の捉え方もいろいろでよくて、いろいろな活動があって共生できているというふうに考えるのがいいのだろうなと思います。
広石:昔は多分、一つの地縁みたいなものに全ての関係性が包含していたようなところがあったんですよね。でも今は、仕事は別の地域でしているけれど、地元のお祭りや、遠くの町のお祭りにも継続的に関わっているような人もいて、何かあったら遠くであってもちょっと声を掛け合うことができる。オンラインでコミュニケーションも取れるようになったりしていて、そういう地域のつながり方も、これからすごく大事ですね。秋野さんがおっしゃった「人がいるところが地域」だというのは、とても素敵だなと思いました。
あと、地域の課題としてよく出る話かもしれませんが、参加者のコメントのなかに、「男性は地域で知らない人の中に入っていくのが苦手じゃないか」というものがありました。服部さんいかがですか?
服部:そうですね。役割とか仕事がないと、なかなか参加しにくいかもしれませんね。あとは、私なら褒められたらやるかも(笑)。
広石:コロナ禍で地域の活動でもオンライン化が必要になったことで、男性の方のパソコンスキルが活かされて、それがきっかけで関わるようになったという話も聞きますね。
また、少し違う視点ですが、男性の方から「将棋は黙って(その場に)いられるからいい」という声も聞きます。サロン活動というと「おしゃべりしないといけない」というイメージがあるようですが、みなさんが活動されている様子を見ていたり、ちょっと手伝ったりするくらいが自分の居場所として心地いいという方もいるはず。そうした方も参加しやすい場をデザインできるといいのかもしれません。
顔の見える関係性が地域を豊かに
広石:最後に、私たち3人から一言ずつ、参加者のみなさんへメッセージをお送りしたいと思います。まずは秋野さんから、特にこれから何か活動を始めようかな、どうしようかな、と思っていらっしゃる方に向けて、一言いただけますか。
秋野:いろいろな予防のために大切なのは「自分の幸せのためだと思って動くこと」ですね。
服部:私は支援する側のみなさんにお送りしたいと思います。私も公務員を20年やっていたんですけれども、どうしても今ある仕組み・制度からものを考えがちだし、なかなか地域に出る時間もなかったりして、住民の暮らしを知らないところがあるのではないでしょうか。そこで「まちづくりは、制度からではなく 人・暮らしから」というメッセージをお送りしたいと思います。
広石:では、私からは「お互いに知り合う、顔の見える関係性をもっと作ってほしい」です。先ほどの「地域って人だ」っていう秋野さんの言葉がすごく響きました。顔の見える関係、というのは、例えば「町会長さん」って言うと、ちょっと気難しそうだけれど、「斉藤さんっていう、いつもにこにこしたおじさんだよ」と言われたら、コミュニケーションを取りやすいですよね。役所や地域包括支援センターの職員の方に対しても同様で、もっと顔を知って、「〇〇さん」と名前を呼び合えるような人を増やしていくことが、実は自分の地域を豊かにしていくことなのかなと思いました。
今日はみなさま、ありがとうございました。
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