2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

東京ホームタウン支援先レポート

年間のべ2800人が利用する
板橋区の「たまり場」ができること

NPO法人健やかネットワーク
理事 佐々木令三さん
2016年5月17日

設立 2001年
2000年の介護保険法施行を機に板橋区から介護予防事業を受託。NPOの支援・各種出前講座・住民向けの啓発講座など多くの事業を手掛ける。事業の中での気づきを活かし、日常的に人とのつながりを持続するための場所が必要ではないかとの思いから2013年コミュニティスペース「たまりば・とうしん」をスタート。2015年度の「東京ホームタウンプロジェクト」では事業計画作成のプロボノ支援を受けた。

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「団塊世代」であることを、逆手に取ってほしい

地域の「たまり場」を運営されて3年。どんな課題を感じますか?

佐々木 利用しているのは元気な方々。たくさんの方に来ていただいていますが、外に出ない人のほうがまだまだ多い。さまざまな理由があるかと思いますが、この状況を行政も含め、重く受け止めないといけません。

もう一つは、2025年問題で名前が挙がる、団塊世代の問題です。私の家内もそうですが、団塊世代の人々にしてみれば、常に話題になることで「私たちはお荷物なの?」という気持ちがあるでしょう。

人数が多いということは、よくも悪くもインパクトがあることは否めません。でも団塊世代が「これまでとは違う10年」を過ごしてもらうことで、2025年になっても、介護保険や医療の給付が心配するほどでなかった、という結果になるかもしれません。

私は「逆手に取る」という言葉が大好きなのですが、まさに人数が多いということを逆手に取って、超高齢問題を自分ごととして意識改革できる可能性があるわけです。そのためにはみんなが汗をかかなくてはなりませんね!!

佐々木さんは、逆転の発想が多いんですね!

佐々木 「言うは易し」はわかっています。でも小さな「たまり場」だけの話でなく、住民の意識改革、地域包括ケアシステムで無理なくボトムアップしていく流れができればいいと思います、そのための切り口の一つがたまり場ではないでしょうか。

「このごろ来ないひと」の話題も「たまり場」の役割

これから「たまり場」を作る方へのヒントとしてもぜひ聞かせてください。「たまりば・とうしん」の活動で、スパイスのきいたものは?

佐々木 見るだけ、専門職から話を聞くだけではない「参加型」がキーワードです。団塊世代は特に、参加者がかかわる部分を最大限にすると好評です。例えば一人ひとりがアクターになる朗読など。参加した人の満足感は格段に上がりますよ。

今まで来ていたのに、健康問題などで足を運ばなくなってしまった方への対応はどのようにしているのでしょう?

佐々木 「導線」、「動線」、2つの漢字どちらでもいいようですが、家族や支えてくれる方がいる場合はいいとして、それが難しい場合は地域包括支援センターにつなぎます。事例もいくつかあります。

一方、この頃姿を見せない人について、いい意味で話題に出ること。これも「たまりば・とうしん」の役割です。「そういえばあの方、この頃姿を見かけないわね」「入院されているみたいだよ」「でも検査入院と聞いたから、大丈夫なんじゃないかしら?」など、人からの情報で現状がわかります。正に小地域での支え合いですよ!

人を介して「たまりば・とうしん」に来るケースも多そうですね。

佐々木 人が人を呼ぶ面は大きいですね。利用している人から「こんな人がいるんだけど、見学にいつ連れて来たらいい?」と相談され、その人に合いそうなプログラムを説明するのも楽しみの一つです。

プログラムは豊富ですから、出身地は、これまでどんな仕事をしていたか、といった生活歴などをふまえながら選ぶこともできます。無理強いはいけませんから、紹介だけして、その気になったら来てもらえればいい・・・

「たまりば・とうしん」活動3年目。東新町になくてはならない存在になりましたか?

佐々木 及第点はもらえているかな。過大評価はしませんが、あまり進まないけれど木からは落ちない「カタツムリ方式」はいい手法でした、点から線にそれから面にです。
私が元気なうちに「たまり場」の2カ所目を作りたい。こういう場で言えば「言っちゃった」スイッチが入りますね!!!

聞いちゃいました!(笑)

高齢者だけでない「たまり場」が必要

佐々木さんの「やりたいことリスト」には、ほかにどんなものがあるのでしょう?

佐々木 私は2015年問題、2025年問題という高齢者問題からスタートしました。でも今後は、子どもの貧困問題といった課題にも取り組みたいと思っています。

2015年6月から、南蔵院(なんぞういん)というお寺で、「地域のホッとステーション」となるため、子どもたちに夕食の提供をお寺さんと協働して行っています。

佐々木 今のところ月2回、日によって参加者数はばらつきますが概ね子ども30人と、保護者や見学者スタッフの大人20人が夕飯を作って、みんなで食べる。いわゆる「こども食堂」ですが、宿題や読書を自分たちで行うほかに、音楽・読み聞かせ・英語レッスンなど、食事以外に自由なことができるので「こども会」という名前にしています。

それ以外にも、バブル経済の恩恵を受けていない、いわゆるロストジェネレーション世代の人達も気になります。団塊世代&ロスジェネ世代が元気になる取り組みも今後していきたい。

繰り返しになりますが今は点ですが、こうした活動をつなげて、面にしたい。子どもにフォーカスしたたまり場にできればうれしいです。こうしたことは、地域に受け入れられないと、落下傘的に行っても続きません。地域に受け入れられやすい形にすることが大切です。「地域の・地域による・地域のため」の居場所でしょうか、頑張りますよ。

聞き手/サービスグラント代業理事 嵯峨生馬
(渋谷のラジオ「2025年部」2016年5月17日収録を元に構成)

 


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