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    東京ホームタウンSTORY

    2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

    支援先レポート

    古くからの住民も、新しい住民も、みなマチトモ!
    出会いがいっぱいのイベント活動で、心地よいまちづくり

    東中野五丁目小滝町会
    町会長 岸哲也さん(写真中央左)と活動を支える中心メンバーのみなさん
    2018年8月2日

    東中野五丁目小滝町会は、中野区の東端に位置する地域の住民による自主組織。JR中央本線の東中野駅と東京メトロ東西線の落合駅が最寄り駅となる都心へのアクセス至便な土地柄もあり、近年大型マンションの建設が続き、ここ数年で人口が約2,800世帯と大きく増加している。転入してくる住民の大半は30代までの若年層。都市部の町会離れが叫ばれるなか、2018年度から「マチトモ見つけよう!」をキャッチフレーズに、町会という枠組みから一歩離れた“ゆるいつながり”を求め、新しい住民でも気軽に参加できるユニークなセミナーやイベントを活発に行っている。2016年度東京ホームタウンプロジェクトでは、住民ニーズを調査するプロボノ支援を受けた。

    (上記写真中央右/東中野区民活動センター運営委員会 事務局長 内田光子さん、写真左/マチトモ1期生の仙石達也さん、写真右/中野区 地域支えあい推進室の遠藤由実子さん)

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    町内を縦横に貫く、緩急のある坂道。その坂道を登りつめた高台に、かつては地域の支え合いの根っこであった東中野小学校がありました。廃校となった跡地に、住民の交流施設である東中野区民活動センターが新たに建設され、オープンを迎えたのは今年(2018年)5月28日。この日を東中野五丁目小滝町会(以下小滝町会)のメンバーは万感の想いで迎えたに違いありません。

    小学校の廃校、そして転入転出による住民層の変化で脆弱化する地域コミュニティ。都市部の多くの地域が抱える問題を、小滝町会は「子どもの居場所づくり活動」と「古くからの住民と新しい住民を結びつけるマチトモ活動」を活発に行うことで乗り越えようとしています。

    祖父の代からこの町に住み、8年前に40代の若さで町会長を引き継いだ岸哲也さん。そして岸さんとは同年代、互いの子どもが小学校の同級生という縁で、PTAから町会までともに活動してきた内田光子さん。オープンを控えた区民活動センターを訪ね、お二人に長い年月にわたる町会の取り組みと今後の展望をお聞きしました。

    小学校の廃校を乗り越え、地域で子どもの見守り活動を活発化

    小滝町会が、東京ホームタウンプロジェクトのプロボノ支援にエントリーしたのは今から2年前、2016年の春です。

    町会長の岸さんからその意思を告げられた時、岸さんとともに町会の中心的役割を担ってきた内田さんは「会長は、このうえまだ新しいことはじめるつもりなの?」と、大きな驚きを感じたといいます。というのも、それまでの10年近い年月、町会を取り巻く環境は劇的に変化し、戦後から脈々と受け継がれてきた地域住民の交流を断絶させまいと、町会のコアメンバーは懸命に活動を続けてきたからです。

    この町に激震が走ったのは2008年。少子化の波を受けて、地域内にあった東中野小学校が同年度をもって閉校することが区議会で採決されたのです。統廃合案が発表された時から興った地元の反対運動は、6400もの署名を集めるほどの規模に発展しました。しかし、その願いは叶わず、子どもたちは統廃合後の区内の新設校と、地理的に近い新宿区の小学校に分散することになりました。

    小学校を核に、伝統的に子ども会の活動がさかんに行われていた地域です。その喪失感には計り知れないものがありました。

    子どもたちはもちろん、保護者同士のつながりも希薄になることに大きな危機感を抱いた内田さんら町会子ども会のメンバーは、当時の町会長の「反対運動より廃校後の子どもの居場所づくりを優先させるべき」との意向を受け、中野区の職員のアドバイスを受けながら、放課後子ども教室の活動「とちまるランド」を立ち上げます。1年間の活動実績を積み、任意団体として区の認可を受けました。さらに、地域で子どもの見守り活動を続けることを前提に、小学校跡地の暫定的利用が認められたのは、閉校間際のことでした。

    とちまるランドの活動に積極的に協力してくれる親御さんも増え、また小滝町会のサポートを受けながら、年に10回以上の工芸教室や親子料理教室を開くなど、活動は活発化しました。また、夏の子どもお楽しみ会や餅つき大会など町会主催のイベントも、以前と変わらず校舎の調理室や校庭を使用してにぎやかに行われました。

    なかでも象徴的なイベントは、校庭に張り巡らせたロープに100匹もの鯉のぼりを泳がせる「コイフェス」です。卒業生バンドの演奏や地元劇団の人形劇、伝承遊びの指導などの企画が盛り込まれたGWの風物詩的行事として、2008年から8回連続で開催され、毎回1,000名以上、跡地活用事業で校庭使用が最後となる2015年には2,000名を超える来場者を迎えました。

    この活況ぶりを見て、2014年3月、中野区は小学校跡地の約3分の1の面積を東中野区民活動センターと区民公園として整備し、残りをマンション建設用地として民間業者に売却する整備基本方針を発表しました。思い出深いこの場所を大切にしようとする地域住民の強い気持ちが、行政を動かしたのです。

    新しい区民活動センターの設計に、学び舎の記憶を織り込んで

    中野区は、地域コミュニティの拠点として、区内15ヶ所に区民活動センターを設置しています。東中野では小滝町会と隣町の四丁目町会の2町会を包括し、そのセンター運営委員会の会長を岸さん、事務局の局長を内田さんが務めています。

    新しいセンターの設計に当たって、中野区は地域住民の要望を積極的に採り入れる姿勢を示しました。「東中野小学校廃校の反対運動で先鋭化した区との対立を乗り越えるためにも、あたたかみのある建物にしたかった。幸い、運営委員に小学校の卒業生が多く、意思の統一が図れました」と語る岸さんは、地域を回り、意見を吸い上げるのに努めたといいます。

    昔の校舎があった位置に建物を配し、校舎と校庭の対比のように、建物と公園との間を自由に行き来できる開放的な雰囲気。単なる四角いコンクリートの箱ではなく、一部に大きな屋根を設けた落ち着きのある外観。かつての体育館のように講演や展示会、軽いスポーツにも対応できる広い集会室、さまざまなイベントに利用できる調理室、などなど。「いろいろな要望を言葉に出して運営委員会の皆で共有し、一枚のスケッチにまとめて区に提出しました」

    中野区も住民の学校への愛着を重く受け止め、担当職員や設計者も交えて細かい部分まで意見のすり合わせを行いました。整備基本方針の発表から4年余りの歳月を経て、今年5月、「これまで中野区にはなかった画期的な公立施設」と運営委員が胸を張る新しいセンターは完成し、すでに運用を開始しています。

    新築された東中野区民活動センター
    集会室のステンドグラスは岸さんが制作して寄贈

     

    東京ホームタウンプロジェクトの支援先、参加者、協力団体などをご紹介します。

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