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    プロジェクト詳細

    中野区 マーケティング基礎調査

    東中野五丁目小滝町会

    小学校という拠り所を失ってもなお、地域がつながりを持ち続けるためにできること。



    新宿からわずか2駅にもかかわらず、駅のすぐそばから落ち着いた雰囲気が漂う東中野五丁目。町の南北を通る生活道路はゆるやかに曲がりくねりながら、昔からある住宅と、最近建ったようなマンションが入り混じり、町の東西方向には武蔵野台地から新宿方向に落ち込む地形を反映した急坂が何本も刻まれています。

    急な斜面の上に、ベランダ付きの1階部分が突き出す戸建ての家のような場所が、東中野五丁目の町会会館です。玄関からすぐに階段があって、その階段を上ると先ほどの1階にたどり着き、扉を開けるとリビングのようなお部屋。住まいにこだわる友人の家に招かれたような場所に、町会のメンバーが集まってきます。

    東中野五丁目小滝町会は、この地域で、活発な町会活動を行っています。ひとつは、中野区の区民活動センターの運営受託の一部を担っていること。ここ東中野に限らず、中野区では区民活動センターを住民組織に委託しており、東中野五丁目小滝町会を含め地域の関係団体が運営委員会をつくっており、日々センターの運営に積極的に関わっています。また、センターの事業の一環として、地域を歩きながら街の魅力を発見する「おもしろスポットぶらぶら歩き」を通じて、居住歴の短い住民と昔から住んでいる住民とを結びつける活動に取り組んでいます。東中野五丁目としては、新年会や敬老会などの親睦事業、防犯パトロールや交通安全運動やラジオ体操などの安全や健康のための事業、子どもたちのための夏祭りや子ども新年会等の事業、世代をこえた地域全体の連携のためにもちつきや祭礼など、カレンダーは一年中忙しく埋まっています。さらに、放課後子ども教室と連携して、地域の大人たちが子どもたちに料理や工芸を教える企画なども年10回程度企画・運営しています。なかでも象徴的なイベントが、毎年5月に開かれる「鯉のぼりまつり」です。小学校跡地の校庭に張り巡らしたロープに、多数の鯉のぼりを泳がせ、地域の大人と子どもが総出で集まるお祭りを開いています。

    このように、他の地域と比較して相当に活発な町会活動を展開し、しかも、メンバーの大半が40〜50代。そこにはどんな背景があるのでしょうか。

    「2008年に旧東中野小学校が廃校になったことが、実は大きな影響があり、地域で危機意識が高まったことが、いまの町会活動の背景にあります」と、町会長の岸哲也さんは言います。
    小学校が廃校になるまでの数年間、地元では廃校に対する反対運動が起き、なんとかして小学校を残してほしいという声が上がりました。しかし、児童数の減少は着実に進み廃校の流れを止めることはできませんでした。この地域の子どもたちは、中野区内の近隣の学校2校と、地理的にすぐ近くにある隣接する新宿区の学校へと分散してしまうことになります。
    「学校があれば保護者どうしがつながることができますが、この地域にはそれがない。それでも、いまこうして活発な活動をしていることで、人間関係をつなぎ留めているほうだとは思います」

    東京ホームタウンプロジェクトで関わる地域の中でも、助け合いの活動が活発な地域には、PTAのネットワークが大きく寄与しているケースが少なくありません。学校、特にPTAで築かれた人のつながりが、後々の地域での支え合いの根っこにあるとすれば、その核となる小学校の存在がない東中野五丁目では、将来のまちづくりや、この地域での暮らしに影を落とすことになるかもしれません。そのことを感じ取った住民たちが、いまできることは何か、を考えた中から生まれてきたのが、活発な町会活動であり、地域で行われるさまざまなイベントです。

    「町会の加入率は80%と低くはないのです。ですが、多くの住民は、マンションで一括して支払っているだけなど、町会費を払ってはいるが、地域に参加しているわけではないのです。いま顔が見えていて、町会の活動に直接かかわってくれている人は100〜150人ぐらいじゃないでしょうか」
    特に、数の上で増え続けている、新しい住民が地域の活動に参加するケースはまだ少なく、地域の中でのつながりづくりを目指した活動はこれからも必要とされています。
    「定年した60代の人も、もっと参加してほしいなと思っています。昼間の時間に動ける人がいてくれたら助かると思うことはありますね」
    若い世代が引っ張る町会だからこそ、年配の人たちの参加も大いに必要とされています。

    そして、いま、小学校跡地には、新しい区民活動センターが建設されようとしています。そこには、これまで以上に人が集うスペースが生まれ、住民の交流の場になっていくことが考えられます。そのとき、まちの活動の担い手が広がり、参加者が増えているために、今からできることは何か。町会のコアメンバーだけでなく、古くからの住民、新住民、町会活動への参加経験者、そして、未経験者まで、幅広い地域住民が、この活気と若さのある町会に何を期待し、どのようにして関わることができるのか、プロボノチームによる調査を通じて明らかにしていきます。

    (本記事は2016年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)

    団体基本情報

    団体名
    東中野五丁目小滝町会
    代表者名
    岸 哲也 さん 
    所在地
    〒164-0003 東京都中野区東中野5丁目
    ホームページ
    https://otakishi.jimdo.com/

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    進捗率
    完了
    進捗状況

    最終更新 2017.01.29
    2016.08.30

    キックオフ事前ミーティングを実施しました。チーム員初めての顔合わせという特殊な雰囲気で始まりましたが、会終了時には冗談も交しあえる、そんなチームになっていました。6ヶ月後には、どんな素晴らしいチームになっているんだろうと楽しみさえ感じました。

    2016.09.06

    キックオフミーティングが終了しました。この会には3つの「できたこと」がありました。チーム員全員が事前に、団体に対する質問を考えてくれたこと、キックオフミーティング時にチーム員全員が、建設的な発言をしてくれたこと、そしてこの気持ちが、団体に伝わったこと。今後も団体に寄り添いながら、課題解決に取り組みます。

    2016.11.28

    アンケートの集計作業行いました。

    2016.12.13

    調査方針提案を実施しました。

    2016.12.20

    提案に対するフィードバックと承認を実施しました。

    2017.01.03

    チームミーティングを実施しました。

    2017.01.27

    ヒアリング以外の調査を実施しました。

    2017.01.28

    最終報告会を実施しました。終始和やかな雰囲気で、小滝町会のみなさん、チームメンバー双方から活発に発言がなされる、充実した3時間となりました。今後のアクションのきっかけやキーワードになりそうなことも、会話の中からたくさん引き出されていました。

    2017.01.29

    報告に対するフィードバックと承認を実施しました。

    成果

    持続的かつ発展的な町会運営のために。アンケート調査の実施・分析から、「時間的制約の中でも参加できる環境の整備」を提案

    東中野五丁目小滝町会は、活発な町会活動と、さまざまなイベントを開催してはいるものの「さらに多くの方に町会を知ってもらわなくては」という課題意識があります。本プロジェクトでは、「地域に集う人々にとってより良い地域」の実現に向けて、持続的かつ発展的な町会運営のために優先的に着手すべきことは何か?を把握するためのマーケティング基礎調査を行いました。

    プロボノチームは、町会の皆さんのご協力もいただきながらアンケート調査を実施。集合住宅、社宅や社員寮に加え、町会の催し物、町会のホームページでも案内を行い、146世帯から回答を集めました。
    アンケート結果の分析および他地域の事例研究から、チームは「時間的制約の中でも参加できる環境を整備すること」を提案。町会の運営方針・活動内容を明確化し、町内の掲示板やチラシ、ホームページに掲載すること、また、短時間でも参加できるきっかけを作るために、作業を細分化することによって参加のハードルを下げることができる、といった提案がなされました。

    短期、中期、長期的に取り組むアクションの例も提示された最終提案の場では、町会の皆さんが次のアクションのきっかけやキーワードを見つけていたことが印象的でした。その町会の皆さんの気づきに対して、プロボノチームからさらにアイデアが出され、活発にかつ和やかに意見交換が行われました。
    町会会長の岸さんより、「活動に慣れすぎてしまうと、自分で自分を制度化してしまい、いつものフィールドの中の活動を自画自賛してしまいがちになる。今回のプロボノの支援の中で、陥りがちな自分たちの欠点について気がつくことができた」との感想をいただきました。

    2019.08.07

    【支援のその後】
    これまでも主に子ども向けに積極的な活動をされてきた東中野五丁目小滝町会でしたが、プロボノによるマーケティング調査によって他の年齢層を対象とした活動の可能性に気づくことができたと言います。また、広報の仕方を変えたことで地域の住民にとってより開かれた町会が実現できました。町会長の岸さんは「現在の町会を言葉や記憶として残すことで次の世代へつなげたい」と話します。住民の皆さんに地域づくりに参加する面白さを感じてもらうことで自発的な地域コミュニティを作り、楽しい街の将来像を共有してもらうことが今後の目標だそうです。
    [2019年8月、津田塾大学 森川ゼミ・伊藤(由)ゼミの協力により取材]

    チームメンバー

    プロジェクトマネジャー
    守分さん
    マーケッター
    太田さん 中島さん 四條さん 川上さん
    アカウントディレクター
    北場さん
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