東京ホームタウンSTORY
支援先レポート
本当に知りたいことが書いてある
「みたかの高齢者 お役立ちハンドブック」ができるまで
代表 成清一夫さん(写真右)、事務局長 竹内碩子さん(写真左)
三鷹市の「グループリビングみたかの家」を拠点に、高齢社会の様々なテーマに取り組む5つの団体によるネットワーク。2015年度東京ホームタウンプロジェクト「プロボノ1DAYチャレンジ」に続き、2018年度の長期プロジェクトにも参加。みたか・みんなの広場の創立10周年記念事業「みたかの高齢者お役立ちハンドブック(改訂版)」の制作に向けて、プロボノ支援を受けてアンケート調査を実施した。
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みたか・みんなの広場が目指してきたこと
JR三鷹駅南口から商店街を抜け、住宅地を10分ほど歩いたところに、「グループリビングみたかの家」があります。木造2階建てのアパートのようにも見える建物です。その1階が、「みたか・みんなの広場」の拠点になっています。
みたか・みんなの広場は、高齢社会の様々なテーマに取り組む5つの団体によるネットワークです。その代表である成清一夫さんと、事務局長の竹内碩子さんから、お話をうかがいました。成清さんはシニアの就業を支援する「NPO法人日本シニアジョブクラブ」の理事長、竹内さんは高齢者が暮らしを共にする活動”グループリビング”を推進する「NPO法人HumanLoop・人の輪」の代表理事です。みたか・みんなの広場は、この2つを含む3つのNPO法人と、2つの市民活動団体によって構成されており、三鷹市を中心に2012(平成24)年から活動を続けています。
みたか・みんなの広場は、地域住民と市民活動団体が共同で活動する “助け合いの場”と位置づけられています。活動の柱となっているのが、月1回開かれる「リレートーク」です。毎回、様々なテーマの講師を招き、約1時間お話をしていただき、そのあとに、参加者を交えて1時間ほど意見交換を行います。じっくりと意見交換を行うために、参加者は十数人に絞られています。リレートークの記録は毎月チラシにまとめられ、約400枚が図書館やコミュニティセンター等を通じて、市民に配布されています。
会の特徴について、代表の成清さんは、「みたか・みんなの広場は、活動グループの共同体です。普通、グループといえば個人の集まりが多いですが、私たちは、複数の団体の共同運営で10年間やってきました。各団体は、普段はそれぞれ別の活動をしていて、共通のテーマの取組みの時に一緒に行動します。それぞれのグループでできることもあるが、できないこともたくさんある。そして、わからないことがあったときは、他の団体の誰かに聞けば必ず情報が見つかります。それがみたか・みんなの広場の価値だと思います。活動に必要なものは、ヒト・モノ・カネだとよく言われますが、人とは人材ではなくてネットワークだと思うのです。みんな勝手に活動していて、必要なときに助け合おうね、という緩やかなつながりだからこそ、解散もすることなく続いてきたのだと思います」
事務局長の竹内さんは、「高齢者に関わる、いろいろな活動をしている人がいます。つながろうと思えばつながれるのではないかと思うのですが、それがなかなか難しい。なぜ難しいかというと、みんな自分がやりたいことに対する思いが強すぎて、他を受け入れる余裕がないからです。でも、それだと狭まっていく一方ですよね。そうではなくて、うまく折り合いをつけて、できることは協力し合いましょう、できないことは単独でやりましょうという、そういう大きなシステムを市民の中で作ることが、とても大事だと思っています。みんながもうちょっと、自分の考えにとらわれないで、大きな心でやるようになれば、活動も意味あるものになっていくし、なにより楽しいと思うのです。みたか・みんなの広場は、それを目指してやってきました」
行政への働きかけで実現した「高齢者見守りキーホルダー」
みたか・みんなの広場が取り組んできた活動のひとつに、「高齢者見守りキーホルダー」の導入があります。これは、万が一高齢者が外出先で救急搬送されたときなどに、速やかに本人確認できるためのものです。搬送先の病院や保護した警察などから、キーホルダーに記された地域包括支援センターに問い合わせれば、あらかじめ登録されている高齢者の氏名や緊急連絡先、医療情報などが速やかに確認できるようになっています。
きっかけは2016(平成28)年に、成清さんが東京都大田区の高齢者見守りネットワーク「みまーも」と出会ったことでした。大田区ではすでに2009(平成21)年から、「高齢者見守りキーホルダー」が活用されていました。成清さんは、すぐに三鷹駅周辺地域包括支援センターに導入を提案して、2018 (平成30) 年2月から三鷹版の「とことこキーホルダー」の運用開始にこぎつけました。そして、2020(令和2)年3月からは、「三鷹市あんしんキーホルダー」として、全市での導入が始まっています。
このようにみたか・みんなの広場の活動は、高齢者一人ひとりを支援するところから、行政に働きかけて制度そのものを動かすところへと広がってきました。
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