町田市 映像

玉川学園地区社会福祉協議会

自立支援を意識した支え合い。玉川学園の有償ボランティア特有の間合いと気遣い。



玉川学園のまちを歩くと、多摩丘陵の起伏ある地形を感じる急坂が、行く先々に現れます。健脚の人でも息が切れそうな坂道をのぼり、傾斜地に建ち並ぶ家々には、道から玄関までのアプローチに、さらに10段、15段の階段が待っています。それでも、少し進んで振り返り、また進んで振り返りすると、まちの眺めはその場その場に応じて変化していきます。家々の美しい庭木なども相まって、このまちの愛すべき景観を織りなしています。
町田市の平均的な高齢化率が20%程度であるのに対して、玉川学園の地区はおよそ35%。高齢化が進むこのまちにあって、急坂はときとして移動を妨げる存在ともなり得ます。2005(平成17)年に運行開始したコミュニティバス、通称「玉ちゃんバス」は、多数の地域住民が関わる委員会と、町田市やバス事業者とが協議を重ねて実現した住民参加の賜物で、狭い道や急坂を駆け抜ける地域の足として、多くの住民に親しまれています。
玉川学園の住民の力を感じる、ちょっとしたエピソードのひとつが玉川学園駅にある「善意の傘」です。その本数や手入れの行き届き具合が、全国的に見ても珍しい水準にあるという、無料の置き傘。駅の南口・北口の両方に、それぞれ数十本単位で用意され、借りた人はほぼみなさん元の場所に戻しているので、傘がきちんと循環していきます。365日、町会の人が見回りをして、傷んだ傘は廃棄し、新たに補充する状態を維持しているのだそうです。
駅前に放置自転車を見かけない背景には、過去に住民と行政とが協議して、十分な自転車駐輪場の整備を実現した経緯があります。自分たちのまちの暮らし心地を、自分たちでデザインしていく。そんな文化が、玉川学園に定着しているようです。

このまちで地域福祉の活動に取り組む玉川学園地区社会福祉協議会(以下、地区社協)が、2015(平成27)年10月から取り組んでいるのが、有償ボランティアのしくみ「玉ちゃんサービス」です。
サービスの立ち上げに先立って、玉川学園の65歳以上の高齢者5800人を対象とした町田市のアンケートをもとに地域のニーズを調査。その結果、ちょっとした身の回りのサポートに対するニーズがあることが明確になりました。サービスの実現に当たっては、有償とすることで、お互いに遠慮のないかたちで依頼ができるようにすること、また、必ず対面でサービスを提供するものとし、留守宅でのサービスは行わない、など、いくつかの大切な決め事を定めました。

2017年7月時点で、サービスの受け手となる利用者登録は40名、有償ボランティアの担い手となる協力者登録は29名。お手伝いの内容は、家事がもっとも多く、その他、草取りや窓ふきなどの軽作業など、幅広いニーズに応えます。両者のマッチングは、地区社協のみなさんが丁寧に行い、お手伝いの内容や、住む場所の近さなどから候補者を絞り込んで、引き合わせをしていきます。
いまのところは利用者と協力者がバランスしているようですが、それでも、地区の中でも協力者が多いエリアとそうでないエリアの偏りがあり、必ずしもマッチングが容易でないケースも出てきています。これから先、利用者は自然と増えていくことが予測されており、協力者を100名程度の規模にまで増やしていきたい、という思いも聞かれます。

とはいえ、有償ボランティアのサービス提供実績をとにかく増やしたい、とがむしゃらになっているかというと、そういう温度感ではありません。
玉ちゃんサービスの利用実績は、2016年の1年間で、227件276時間。
これは、月にならせば、十数件程度、1回につき1時間弱という、どちらかというと、ささやかなものです。そのことについて尋ねてみると、地区社協の井上宮子会長からはこんな答えが返ってきました。

「例えば、窓ふきを手伝うときに、利用者の方の手が届くところはご自分で窓を拭いていただいて、手が届かない高いところだけをボランティアが拭いてあげるようにするんです。ボランティアができるからといって、全部やってしまったら、もったいない、と思うんです。できるところは自分でやる、できないところはお手伝いする。やりすぎないこと。それが、自立した暮らしを支えるために大切なことです」

玉川学園の有償ボランティアは、地域でお互いに支え合う互助の精神からなっています。
「こんなお手伝いなら私でもできる」という気持ちから出発し、「お手伝いし感謝されそれが自分の番として循環して帰ってくる」「地域貢献活動に参加することが自分自身のためにもなる」という思いを大切にしています。
困り事があるから助ける、という以上に、いくつになっても自立した生活を送ることを後押しする。時間量や件数を追うのではなく、生活の質を高める。そんな明確なコンセプトがあるのです。
玉川学園の有償ボランティアにおける決まりのひとつに、サービスを受けた人は提供者に対してきちんと感謝の気持ちを伝えること、というルールがあります。これは、お仕着せの感謝でもなく、お金を払ってるんだからやってもらって当然、というのでもない、個人と個人とが対等な関係の中で役割を果たし、一期一会を認め合うための工夫です。

「助ける、支援する、という言い回しは、なんとなく違うな、という気がしています。困っているから助ける、では、なんだか見下しているみたいで・・・」

この微妙なニュアンス、利用者と協力者との距離のとり方、背景にある哲学、これらを伝えるために、東京ホームタウンプロジェクトでは、玉川学園の有償ボランティアの映像制作に挑戦します。
映像化を通じて、玉川学園における有償ボランティアの担い手を増やす、という直接的な目標もさることながら、もうひとつ、一般的な有償ボランティアのあり方、捉え方そのものに、メッセージを発したい、という思いも宿ります。自立した年齢の重ね方を支えられるようなまちづくりのヒントに、玉川学園の間合いと気遣いから、学べることがありそうです。

団体基本情報

団体名
玉川学園地区社会福祉協議会
活動開始時期
2010/平成22年5月
代表者名
井上 宮子さん
所在地
〒194-0041 東京都町田市玉川学園7-5-11
ホームページ
http://mtg-syakyou.blogspot.jp

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進捗率
進捗状況

最終更新 2017.09.22
2017.06.28

玉川学園地区社協さんの活動拠点にてヒアリングを実施しました。

2017.09.22

プロボノチームのプロジェクトリーダーとコピーライターが団体を訪問し、団体の活動についての詳しいお話を伺い、制作する映像の目的やコンセプト、今後のスケジュール等の確認をしました。


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