プロジェクト詳細
いちかポケットの会
この食堂が子どもたちの“日常”にあるように。中学生からベテランまで地域で作る安心ごはん。
戸建て住宅が広がる中に伸びる、モノレールの線路。足立区西部、日暮里・舎人ライナー「谷在家(やざいけ)」駅周辺には、どこかゆったりとした空気が流れています。
このあたりを学区域とする「鹿浜第一小学校」のPTA活動で知り合った4人のメンバーが中心となって昨年(2017年)2月より開設・運営しているのが、「こども食堂 いちか」です。
「いちかポケットの会」という団体名や食堂の名前にもなっている「いちか」は、鹿浜第一小学校の「鹿(か)」「一(いち)」から名付けられた、学校の50周年記念キャラクターに由来するものです。
子ども食堂開設のきっかけについて、「日頃から『学校』『家庭』以外に子どもたちの居場所があればいいなあ、と思っていました。ちょうどそのときに区内の他の子ども食堂の報告会を聞く機会があり、“これだ!”と即決しました」と話すのは、「いちかポケットの会」代表であり、小学校の現PTA会長も務める宮本明彦さん。
「そうそう!私たちはもう自分の子どもも大きくなってきているし、ゆくゆくはこの食堂が自分たちの老後の楽しい居場所にもなるんじゃないか、なんて話して、すぐに場所を探し始めました。」と笑い合うのは、宮本さんと共に立ち上げメンバーとなった3人の元気なお母さんたち。
「ほら、宮本さん、あの場所を借りられるか聞いてきて〜」とお母さんたちが言うと、「はい、行ってきます!!」と宮本さんが即座に行動、という4人の絶妙な掛け合いで、活動開始からのこの1年半を駆け抜けてきました。
子ども食堂の存在は徐々に地域に広まり、昨年は月1回の開催だったのを、今年、2018(平成30)年からは月2回、木曜夜と土曜の昼の開催に増やしました。参加対象は基本的に鹿浜第一小学校の児童。卒業して中学生となった子どもたちも来てくれたり、子どもと一緒に訪れたりする大人も含めると20人以上が参加し、現在の食堂の開催場所となっているスペースはいっぱいになります。近隣の高齢者施設で交流イベントとして開催する機会もあり、それ以上の人数が集まることもあります。
「参加人数だけを増やそうとは思っていなくて、子どもたち一人ひとりを大切にしたい。来年以降は、土曜ランチの開催を増やしたいと思っています。やってみてわかったのは、夜だと安全上、小学生一人では来られないからです。また、食材や調味料などを提供してくれる企業や地元団体との連携もでき始めて嬉しい反面、その保管場所に苦労するようになってきたこともあり、いま課題と感じているのは、新たな場所の確保と、一緒に運営してくれる仲間たちを増やすこと」と、立ち上げメンバーの皆さんは言います。
いま、会の運営部分は宮本さんたちが担当しつつ、食事の調理は、協力者である管理栄養士さんの献立に基づいて、地元の自治会の60代、70代のベテランのお母さんたちが担当してくれています。さらには中学生・高校生もボランティアで手伝いに来てくれるなど、地域の幅広い世代でつくりあげている子ども食堂。
「私たちは、一過性の活動ではなく、子どもたちの“日常”になりたい」
それまで明るく笑っていた宮本さんたちが、一瞬、とても真剣なまなざしで伝えてくれたその言葉。
ただ食堂のお手伝い、というのではなく、その思いをできるだけ共有する形で、仲間を増やしていきたい。この1年半は、自分たちが楽しめる場所になることを考えてきた「いちか」の皆さんとプロボノチームが、これからの仲間へのメッセージを共に考えていきます。
(本記事は2018年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)
団体基本情報
- 団体名
- いちかポケットの会
- 活動開始時期
- 2017/平成29年2月
- 代表者名
- 宮本 明彦
- 所在地
- 〒123-0864 東京都足立区鹿浜7-24-10-307
- ホームページ
- https://www.facebook.com/いちかポケットの会-346079932497982/
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進捗率
進捗状況
事前オリエンテーションを実施しました。
活動体験・現場視察を実施しました。
質問事項のリストアップを実施しました。
プロボノワークを実施しました。
成果物の提案を実施しました。
支援先からのフィードバックを実施しました。
成果物の納品を実施しました。
成果
ご近所さんの居場所であるとともに、スタッフとなる“あなたの居場所”でもある。活動の根底にある想いを言語化し、それを共有できるメンバー募集チラシを制作。
いちかポケットの会では、活動を広げていくにつれ、場所の確保とボランティアスタッフの増員を課題として感じていました。より多くの子どもたちに、もっと一緒にご飯を食べられる場所と機会を提供する為には、新たな場所を見つけていくことはもちろん、ボランティアスタッフの数も今以上に増やしていく必要があります。
プロボノチームは、事前に団体側にヒアリングを行い、実際の子ども食堂の開催の様子も一部のメンバーで見学。そうして迎えた本番当日は、非常に明るく和やかな雰囲気で進んでいきました。「単にスタッフの数を増やせばよいというものではありません。一緒に活動することで楽しい時間と地域への想いを共有したいんです」「子ども食堂といっても、子供がご飯を食べられる場所というだけではもったいない。いちかを、鹿浜の地域のみんなが安心して集まれる“居場所”にしたい」そんな思いと気持ちを掴んだプロボノワーカーたちは、今回のプロジェクトで「想いを共有できて、サポートすることで自分の居場所も見つけられる」スタッフを募集できるようなチラシを目指して、そうした団体の皆さんの想いを言語化していきました。また、できるだけ多く配布したいという団体さんの意向から、写真ではな
くイラストを使用して、白黒印刷でも問題がないような工夫も凝らされています。
完成したチラシは本番翌日の地域の見守り活動で、さっそく配っていただいたそうです。
【支援のその後】
成果物であるボランティア募集チラシは、地域の人への配布用としてだけでなく、受付用紙としても利用されています。現状そこからのボランティア増加には繋がっていないものの、作成にあたり団体の想いを言語化したことで、団体メンバーそれぞれの意識を統一させることができました。
今後の目標は、若い人員の増加です。そのため、多くの若者が利用しているInstagramでの情報発信を視野に入れています。団体の活動エリアである谷在家地域に人を集めるにはどのような内容を発信すれば良いのか、思案しています。
現在の課題は、活動場所の確保です。日によって異なる会場を利用しているため、荷物の置き場や運搬に苦労しています。
[2019年8月、津田塾大学 森川ゼミ・伊藤(由)ゼミの協力により取材]
チームメンバー
- メンバー
- 森さん 酒井さん 竹中さん 佐伯さん 小川さん 舩田さん