プロジェクト詳細
NPO法人 荒川区高年者クラブ連合会
全国の老人クラブの未来を左右する!?
“次世代継承”の壁を乗り越えるために、
できること。
都電荒川線の荒川7丁目駅からすぐ、京成線・地下鉄町屋駅からも歩いて5分ほどの場所。ここにある「荒川山吹ふれあい館」は、下町の雰囲気にどこかほっとするこの地域で、地元の人たちの交流の場として親しまれています。この施設の指定管理者にもなっている(公共施設を民間法人が運営すること)のが、荒川区高年者クラブ連合会。なんと2002(平成14)年に老人クラブとして全国で初めてNPO法人化をした、知る人ぞ知る先駆的な団体です。
荒川区高年者クラブ連合会の設立は1962(昭和37)年。現在では区内全域の6支部・76の高年者クラブ、約7000人の会員を束ねている存在です。理事長を務める斉賀さんは、連合会の運営に携わりはじめて約20年の大ベテラン。活動範囲は荒川区だけでなく、東京都老人クラブ連合会の副会長でもいらっしゃいます。
「月に1度の月例会のレジュメを、当時の連合会会長がボールペンで書いていて、それを何とかしてくれ、と頼まれたのが最初でした。その後、理事を集めてNPOをやろう、と話したときも、え?PTA?と言う人がいるくらいのところから始めたんです」
現在80代半ばを迎えている斉賀さんの現役時代は、建築設備会社に勤めるサラリーマン。パソコンも使いこなし、「連合会の仕事が忙しすぎて3ヶ月先まで予定がいっぱい」と見せてくれたスケジュール表も、独自のフォーマットで作成するくらいの技術の持ち主。みんなが斉賀さんを頼りにしてしまう、というのもわかります。
荒川区高年者クラブ連合会は、年間を通し、区内の高年者クラブが参加できる多彩な活動を行っています。毎年1200本のチューリップを育てて鑑賞会をしたり、カラオケ大会、輪投げ大会、運動会、韓国の老人クラブとの交流活動、そして中でも一番盛り上がるのは、年に1回の「芸能大会」! 個々のクラブが普段活動している成果を発表したり、仲間でグループを作って披露する場として大人気だといいます。「区内のスポーツセンターで一番大きなホールを借りて、出演者だけで400人くらい集まります。でも企画も運営も本当に大変なんですよ。朝も9時から受付なのに6時頃に来てしまう人もいるし、もめごとも起こるし・・・」
荒川区は自営業者や職人さんの多い町。企画を作ったり、運営体制を考えたりといったことは経験がない人も多いため、各活動は斉賀さんがまずアイデアを起こし、各理事や支部長と一緒に企画を具体化している状況なのだそうです。
それではいけない、自分は3年後までに一線を退く、と斉賀さんが後継者の育成にも取り組みはじめた今、荒川区だけでなく、全国の老人クラブが直面しているのが「会員減少」という大きな課題。いくら連合会が本部としてイベントを頑張っても、個々のクラブが活性化し、そこに新規会員が根付かないことには始まりません。
「荒川区内高齢者の高年者クラブ加入率は約12%で、他の地域と比べると高い方。それでも2013年から2014年の1年間で約240人、会員が減っています。新規会員募集のチラシも作成して配布したところですが、まだ反応がない。若い60代の人たちに、とくに入ってもらいたいのですが」
これから連合会の運営も担っていくことになる60代の会員獲得、さらに荒川区固有の事情でいえば、現在の会員の中心層である、商店街など自営業者の“せがれ”世代をどう取り込むか。
「60代の人たちは、おれは老人じゃない、と思っていて価値観の違いが大きい」とつぶやく斉賀さんですが、会員増の可能性がありそうな新しいクラブ活動も、いくつか出てきています。たとえば、パソコンの使い方勉強会や講習を行うITのクラブ。カローリングやグラウンド・ゴルフといった最近人気のスポーツ活動。さらに、同じ荒川区内でも新しい公営住宅などができて、いわゆる“新住民”が多く住む地域、逆に昔ながらの人付き合いが残る地域など、地域特性に応じたおもしろい活動をどう作るかもポイントになりそうです。
まだまだ表に見えてきていないニーズや可能性を掘り起こし、全国の老人クラブの中でも一目置かれる荒川区高年者クラブ連合会を、次のステージへと進めるための調査プロジェクトが始まります!
(本記事は2015年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)
団体基本情報
- 団体名
- NPO法人 荒川区高年者クラブ連合会
- 活動開始時期
- 1962/昭和37年
- 代表者名
- 斉賀 靖佳さん
- 所在地
- 〒116-0002 東京都荒川区荒川1-34-6 荒川山吹ふれあい館
- ホームページ
- http://www.arakouren.org/
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進捗率
進捗状況
「荒川区高年者クラブ連合会」への事務局によるヒアリングを実施しました。
キックオフ事前ミーティングを実施しました。
キックオフミーティングを実施しました。
昨年12月からこの1月中は、荒高連の現クラブ会員、非会員それぞれの皆さんに複数回のヒアリングを行っています。
最終報告に向けて、各チームメンバーがヒアリングで得た情報をとりまとめ、荒高連の将来の会員獲得に向けて、どんな施策が考えられるかを検討。報告書の仕上げを行っています。
チームからの最終報告会を実施しました。まずは、荒川区高年者クラブ連合会に参加している会員、非会員双方への聞き取り調査の結果をご報告。荒高連の活動そのもののPR、外部との交流、新しい取り組みへの挑戦など、会員獲得のために見えてきたいくつかのキーワードに対し、チームからは具体的な施策の提案がありました。荒高連会長の斉賀さんからは「非常によくできた報告書を頂いたので、さっそく各支部長にも共有したい」と力強いお言葉。プロボノチームは今後自分たちが有志でお手伝いできることも提示し、荒高連の活動を応援していくことをお伝えしました!
成果
具体的な解決策を目に見える形で提案
歴史ある組織がゆえの変化への難しさ、会員の自然減少、次世代の育成…といった課題を抱える中、今回のプロジェクトは“新たなクラブ会員獲得に向けた調査・施策検討”という難しいチャレンジでした。
約7000人が活動するクラブ活動の現場にこそ、課題解決のヒントや、今は見えてきていないニーズがあるはずと考えたプロボノチーム。地道に活動していこうと決めて自らのチームを「カメさんズ」と名付け、約3カ月間みっちりと、現クラブ会員と非会員、双方の皆さんに手分けして聞き取り調査を重ねていきました。
荒高連の活動や存在をもっともっと知ってもらう必要があること、外部や多世代交流が求められていることなど、調査から見えてきた重要性の高い課題に対して、抽象的なアドバイスではなく具体的な解決案を提示したことで、団体側も納得の提案となりました。
チームメンバー
- プロジェクトマネージャー
- 内山さん
- マーケッター
- 黒木さん 藤井さん 加藤さん 村田さん