八王子市では、毎年、地域のボランティア活動のコーディネーターを育成する講座を開催しており、シニア世代を中心に毎年30人余が集まります。歌、楽器、お手玉などができるボランティアを集め、地域の高齢者施設などに派遣する、その仲介役を、講座で育成したコーディネーターが担っています。
八王子高齢者活動コーディネーター会、通称「八(はち)コー会」は、この講座を受講したコーディネーターの皆さんが自主的に集まって組織されました。
ここから、八コー会は独自の発展を遂げます。
市民のボランティアのコーディネートをしているだけでは飽き足らない、もっと自分たちで何か活動をしてみたい。そう思うメンバーが現れるようになってきました。ボランティアだけでも物足りない、何か「稼ぐ」ことにも挑戦したい、そんな思いも満ちてきました。
そこから八コー会が始めたこと。発明家を招いた講座を開き、自らも発明に取り組もうという「八王子アイディア発明研究会」、シニアが活躍する先進事例を学ぶ「シニアカレッジ」、小中学生に少人数で学習指導をする「シニアが教える教育教室」など、次々の活動が立ち上がっていきました。発明会では、参加者の一人が全国のコンクールで7位を受賞したり、小中学生の教室は、八王子市内に3ヵ所、それぞれ数人から10人程度の子どもたちが通うコミュニティビジネスを実現しています。
「高齢社会白書の中に、シニアは尊厳ある自立をすべきである、とあります。私はその意味を、敬される仕事をして稼ぎなさい、と解釈しています。人から尊敬され、稼げて、自立できる。早く年寄になりたい、と思われるような社会をつくりたいんですよ」と、代表の渡辺さん。
八コー会の望みは、会に参加するだけでなく中心となって活動をリードするような人、自分から活動を立ち上げるような人に積極的に動いてほしい、というもの。現状でも十分にアクティブな活動をしているように見えますが、課題があるとすればどのような点か、会の活動をさらに活性化し、広げていくために今後できることは何か。プロボノとともに、課題整理に臨みます。
(本記事は2015年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)
事前オリエンテーションを実施しました。
質問事項のリストアップを実施しました。
当日までに行ってきた準備をふまえ、改めて当日、会の課題について参加者に見える形で整理していきます。
当日オリエンテーションを実施しました。
プロボノワークを実施しました。
深い議論を尽くし、八コー会さん、プロボノメンバーともに晴れやかな顔での記念撮影となりました!
成果物の提案を実施しました。
成果物の納品を実施しました。
シニア世代を中心とした市内のボランティアのコーディネートをしている八コー会。会の活動をさらに活発化し、担い手を広げていくための課題整理ワークショップが行われました。
「課題整理」といっても問題点だけを検討するのではなく、八コー会の強みとは何か? それを最大限に活用する方法は?といったことを第三者の視点で提示したプロボノチーム。八コー会の皆さんもプロボノメンバーと一緒に積極的に意見を出し合い、“団体の今後”について話し合う良い機会となりました。
団体代表の渡辺さんからも「今回だけでなく、長期の支援プロジェクトもお願いしたいくらいです」とご感想をいただきました!
【支援のその後】
会員の活性化のために講師を養成し、前年度初めて外部に講師として出講しました。講座やフェスティバルを開いたり、子供達に勉強を教えるなど、幅広く活動している「八コー会」は、プロボノの支援内容である課題整理で上がった問題点を、いまもなお意識しています。また、「シニアだけでなく様々な世代を対象に活動していくために、団体の名称変更について考える」などの指摘と、「会員が他者の話を聞くことを全体的に大事にするなど、傾聴力がある」という団体としての強みを客観的に整理できたことで、自信を持って活動できるようになりました。ボランティアの市民団体であるため、団体をどのように継続させていくかが今後の課題です。
[2019年8月、津田塾大学 森川ゼミ・伊藤(由)ゼミの協力により取材]