プロジェクト詳細
八王子市 高齢者福祉課
身の回りのちょっとした困りごとに応えられる、地域のインフラ定着のためのカギとは?
東京都八王子市は、市内に数多くの住宅団地が立地しています。
特に、昭和40年代以後、八王子市では宅地開発が進み、多くの人が移り住んできました。昭和40年代の人口が20万人台だったのに対して、2020(令和2)年現在の八王子市の人口が50万人を超えることからも、ここ数十年での人口の大きな変化を見て取ることができます。
昭和40年代に移住してきた働き盛りの住民が、今ではシニア世代となって、地域活動の担い手となりつつあります。そうした中、八王子市では、地域包括ケアを推進するための取り組みの一つとして、地域住民の互助による生活支援活動を後押ししています。
にぎやかな中心市街地、計画的に開発されたニュータウン、豊かで自然に恵まれた山地や丘陵地など、地域ごとに様々な特性を有する八王子では、その地域特性に応じた高齢者の生活課題を「できることをできる範囲で」住民同士で助け合う生活支援活動がかねてより地域で展開されていました。生活支援とは、高齢者が暮らす住まいにおけるちょっとしたニーズに応えるサポートを提供する活動です。
例えば、電球の交換や高いところの掃除、家具の移動、ゴミ出し、お風呂掃除、庭木の剪定といった、身の回りのちょっとした困りごとに対して、近隣の住民が、無償または有償ボランティアという形で助け合いを行っています。
八王子市では、地域で展開されているこうした生活支援の取り組みを応援するため、介護保険の制度(介護予防・日常生活支援総合事業)を活用した補助金のしくみを整えてきました。2017(平成29)年度、当初6団体が補助金を活用してスタートしたこの取組みは、翌年には18団体、2020年(令和2年)6月現在、26団体にまで広がりを見せるようになりました。
八王子市の支援制度の特徴は、住民主体の地域団体にとって使いやすい制度設計にあります。団体が地域課題を解決するために取り組みたいことを幅広く応援できるよう、既存の活動を阻害しないシンプルで柔軟な補助制度とすることで、団体が安定的・継続的に運営できることを優先したしくみとし、また、報告や書類作成などの手間を必要最小限にとどめることで団体側の事務作業の負荷を下げるなど、地域団体の実状に見合った運用上の工夫がなされています。その根底には、生活支援活動は、単発的なサービスの提供ではなく、何か困ったときに声をかけることができる地域のインフラである、という大事な発想があります。
また、補助金がスタートする前年度となる2016(平成28)年度に、いくつかの団体の協力を得ながら試験的な取り組みを行い、団体から率直な意見をもらいながら、八王子市と地域団体とが膝詰めで使い勝手のいいしくみづくりを模索していったという、立ち上げ時の真摯なスタンスがいまに生きています。
制度開始から3年が経過したいま、生活支援活動に取り組む団体数が増え、各団体には運営上のノウハウが蓄積しています。同時に、活動していく中での問題点なども見えてきました。
活動が続くにつれ、一部のメンバーに組織運営の負担が偏ったり、団体の継続に向けた担い手不足などが課題となる団体も見られます。
そこで、市内の生活支援サービスを提供する地域団体を横につなぎ、それぞれの課題を出し合いながら、課題の効果的な解決策や、よりよい運営方法の秘訣などを共有していくことが、いま求められています。
高齢化が進み、今後ますます普段の生活でちょっとした手助けを必要とする高齢者が増えていくことが見込まれる中、生活支援の重要性は高まる一方と考えられます。そうした中で、八王子市の生活支援活動がよりいっそう広がりを見せていくためには、活動を行う地域団体が互いにつながるとともに、「我こそは」と活動に参加する地域の皆さんの力が必要となっていきます。
東京ホームタウンプロジェクトでは、着々と広がりつつある八王子市の生活支援活動がさらに地域に定着し、持続可能なものとして活動を継続・拡大していくことができるために、課題の洗い出しとノウハウの共有を通じて、運営のヒントをまとめた「虎の巻」づくりに、プロボノチームとともに挑戦していきます。
(本記事は2020年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)
団体基本情報
- 団体名
- 八王子市 高齢者福祉課
- 所在地
- 東京都八王子市
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進捗率
進捗状況
8/2にキックオフ事前ミーティングを実施しました。 一つの支援先ではなく、地域に関わる複数の団体を対象にするネットワーク型支援という新しい試みですが、頼もしいメンバーばかりなので、どんな成果が出せるか楽しみです。 佐藤さん、早田さん、野口さん、古川さん、これから半年強の長期間、よろしくお願いいたします!
八王子市 森山さん、臼井さん、1層コーディネーター 今泉さん、林さんとキックオフミーティングを実施しました。 関係者の初顔合わせにも関わらず、言葉のひとつひとつを掘り下げて、現状の課題や目的・ゴールについて深い議論を行い、参加者が共通の認識をもつことのできたとても有意義なミーティングでした。 バックグラントの異なるメンバーが集うプロボノだからこそ、プロジェクトのスタート段階で丁寧に認識合わせをすることの重要性を改めて実感しました!
追加ヒアリングを行いました。
八王子市内の介護予防・生活支援サービス事業29団体にお声がけさせていただき、10月17日・18日の2日間をかけて、座談会を実施しました。各団体で感じているお困りごと等をワークショップ形式で共有いただき、プロボノチームにとっては活動現場の生の声を収取できる貴重な時間となりました。また、団体のみなさんからも参加してよかった、といった声をいただきました。チームではこの内容をもとに、今後の更なる具体的な調査方針などについて提案を行う予定です。
これまでの収集データ、及び10月に実施したワークショップで得た情報、更なる追加調査で得た情報を基にチーム内で分析を行い、中間報告を実施しました。調査で得られた多くの有益な気づきから、単純に強い傾向に対して働きかけるというだけでなく、八王子市、そして2層コーディネーターの方々、団体の方々、それぞれの視点で考えたとき、どのような成果物があれば、今後生活支援実施団体における課題解決や活動活性化によりしっかりとつなげることができるか、長期的な視点で活発なディスカッションを行うことができました。
議論のなかから見えてきた方針を基に、今後、更なるヒアリング調査を重ね、成果物としてまとめていく予定です。
提案に対するフィードバックと承認を受領しました。
内部ミーティングを実施。これから実施する2層コーディネーターへのヒアリング内容について検討を行いました。
2月13〜20日にかけて、団体への個別ヒアリングを実施。活動運営に関する様々なノウハウを教えて頂きました。
八王子市で生活支援の取り組みを行う団体のみなさんに参考にしていただくための事例をまとめた冊子(KNOW-WHO集)が完成に近づきました。これまでプロジェクトに伴走していただいていた八王子市、第一層生活支援コーディネーターの方々に先行してレビューを頂きました。活動団体のみなさんへのお披露目に向け、この内容をもとに、更にブラッシュアップします。
生活支援を行ている八王子市内の団体の方約20名とコーディネーターの方々にもお集まりいただき、感染症対策への配慮も行いながら、最終ワークショップを実施しました。成果物となった冊子「KNOW-WHO集」作成の背景や道のりを説明のうえで、みなさんにご覧いただきました。そのうで実施した座談会では活発な意見交換がなされ、活気に満ちた場となりました!
報告に対するフィードバックと承認を実施しました。
成果
生活支援団体の課題や工夫点を結集することで、「困ったときは仲間の知恵を頼ろう」を可能にする“Know-Who(ノウフー)集”が完成!
八王子市内に31団体(※)ある生活支援の活動に取り組む団体に対するワークショップや個別のヒアリングで取材した内容をもとに、団体が抱えがちな「困りごと」別に、ヒントになる情報が凝縮された冊子が完成しました。
「多世代のメンバーを集めたい」「謝礼はどうすればよい?」「活動者同士の情報共有が大変!」といった、団体の生の声をもとにした困りごとを軸に構成された冊子には、それぞれの項目について効果的な運営方法を編み出している市内の団体の事例を紹介しています。団体は、この内容を読むことで「困ったときは仲間の知恵を頼ろう!」という意識を持ち、団体同士の横の助け合いを通じて活動の更なる定着や拡大へとつなげていくことがねらいです。
この冊子は、今後も新たな団体のニーズが出てきたり、いままでにない工夫が生まれてきた場合などには、八王子市によって随時更新していくことが見込まれています。
[ ※ 2021年3月時点]
チームメンバー
- プロジェクトマネジャー
- 田中さん
- マーケッター
- 佐藤さん
- マーケッター
- 野口さん
- マーケッター
- 早田さん
- マーケッター
- 古川さん