プロジェクト詳細
社会福祉法人 幹福祉会 ヘルプ協会たちかわ
移動サービスを通して、高齢者も障がい者も安心して街へ飛び出せる社会を目指して。
1996(平成8)年に障がい者当事者団体を母体に発足した「ヘルプ協会たちかわ」は、翌年、社会福祉法人「幹福祉会」を設立し居宅介護事業を開始。現在は、立川市を含む多摩地区の8つの事業所で、高齢者や障がいのある方の介護事業を行っています。
「ヘルプ協会たちかわ」のうち、移動サービスの提供を行っているのは立川市の「移動事業部」です。JR立川駅を挟んだ南北の移動がしづらい街と言われていました。
1998(平成10)年に開業した多摩モノレールによって移動の負担は一部軽減したものの、市内の住宅地は広域にわたっており、公共の交通機関から距離のある地域に住む高齢者や障がい者にとって一人で移動を行いやすい環境とは言えません。さらに、地域に点々と建設された団地の高齢化も深刻です。
このような環境や生活の中にあるバリアが要因となって家や施設に閉じこもりがちになってしまっている方の生活圏拡大をサポートするのが、「ヘルプ協会たちかわ移動事業部」の移動サービスです。
移動車の運行は夜間・日・祝日も含め毎日行われ、通院、通所、レジャー、旅行など利用用途は問いません。また、介助を希望される方には運転協力員または介助要員が自宅に訪問。介護技術を持つ強みを活かして、例えば、エレベーターのない団地の高層階に住む寝たきりとなっている利用者を車まで移動したり、外出先で介助したりといったことにも対応できます。
「利用者が気軽に街へ出られる環境を整えることは、高齢者や障がい者と街の人との相互理解につながる」と所長の谷口幸生さんは話します。
高齢化が加速し移動に制約のある人の増加が見込まれる一方で、移動サービスの利用者数自体は減少傾向にあります。「過去には、旅行のためのサービス利用者も多く空港や近隣の県、東京駅などに週2〜3回程度移動の希望がありました。移動サービスを知って『もっといろんなところに行きたい!』という利用者もたくさんいらっしゃったのですが…」と語るのは、移動コーディネーターで介護福祉士の経塚信之さん。
現在、利用者の多くは、ケアマネージャーや病院からの紹介がメインということもあり、多くの人は通院のみの利用を希望する状況だといいます。
「移動支援は通院・通所などの理由でなければ使えないと思われているのではないか?」
「孫の卒業式に行きたい、季節の名所に出かけたいなど、趣味やレジャーも含めた日常の様々な外出シーンで利用できることは伝わっていないのではないか?」
「設定価格にハードルがあるのではないか?」
移動に制約のある人の外出のバリアを取り除くことを目的に始まったこの活動。主旨と照らし合わせると、利用者数の減少の裏には、本来伝わってほしい方へ情報が行き届いていないことや、サービスを届ける側と受け手の側との思いやニーズにギャップがあるのではないか、といった懸念が浮かびます。そのため、移動支援事業のあり方そのものを改めて検討していくべき時期に差し掛かっている、と感じています。
「地域を変えるためには高齢者や障がい者自らがもっと地域に飛び出さなければいけない、というのが活動の理念。通院だけでは街は変わらないのです」と、谷口さん。
もう一つの大きな課題として、運転協力員の不足もあると言います。自由な移動を支えるためには運転協力員が不可欠ですが、以前市内で起こった高齢者ドライバーによる死亡事故をきっかけに高齢の運転協力員が辞退したことや、福祉有償運送の価格設定の法的制約もあり働き盛りである40〜50代の協力を仰ぐことが難しいといった状況があります。
「運転協力員の方には、高齢者や障がい者の方と接していただくことで、心のバリアをなくしてほしい」と、経塚さんは言います。
高齢者や障がい者の移動の自由を支え、それぞれのやりたいことを叶えるためのサポートがあることで、バリアのある人、ない人が自然に混じり合う街の風景を作っていきたい。
お互いの存在を認め合い、理解し合える街をつくりたい。
そのために、今回のプロジェクトでは、「ヘルプ協会たちかわ移動事業部」の現在の利用会員や活動エリアの潜在的な利用者層へのニーズ調査をはじめとする現状把握を行い、今後、団体がどのようなサービスを提供すべきか、これからの移動サービスの在り方を描く事業計画の検討に取り組みます。
(本記事は2019年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)
団体基本情報
- 団体名
- 社会福祉法人 幹福祉会 ヘルプ協会たちかわ
- 活動開始時期
- 1996/平成8年4月
- 代表者名
- 所長 谷口 幸生
- 所在地
- 〒190-0022 東京都立川市錦町3-1-29 サンハイム立川1F
- ホームページ
- http://www.mikifukushikai.org/publics/index/14/
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進捗率
進捗状況
メンバーが全員揃っての、キックオフ事前ミーティングを実施。 ビジネス経験が多いメンバーが集まったので、プロジェクトのゴールに向けて、スムーズに全員の意識合わせが出来たように感じました。 早速、方向性や課題についても話が出てきたので、団体さんとのキックオフミーティングも有意義な内容になりそうです!
キックオフ事前ミーティングを実施しました。
本日、団体さんとキックオフ! 初顔合わせでしたが、活発な意見交換が出来ました。 メンバー一同、改めてヤル気が充満です。
キックオフミーティングを実施しました。
対象事業・商品・サービス等の評価と目標仮説設定を実施しました。
調査方針提案を実施しました。
調査方針提案に対するフィードバックと承認を実施しました。
ヒアリング以外の調査を実施しました。
利用者のお宅に訪問。日ごろの生活の様子や利用されているサービスについて丁寧にお話ししてくださりとても参考になりました。ありがとうございました!
個別ヒアリングを実施しました。
中間報告と今後の方向感のすり合わせのため訪問。関係者へのインタビューを通じて得た情報で新たな気づきも。最終報告に向けてどうあるべきか3時間近くしっかり会話ができました!
団体の方々が小地域ケア会議等に参加。プロボノで作成した資料を持って事業の説明を行い、手ごたえを感じられたそうです。
事業計画提案に対するフィードバックと承認を実施しました。
本日、ヘルプ協会たちかわさんに、最終報告を行ないました。 キックオフから5ヶ月間、メンバーが熱意と情熱を持ってまとめあげた内容は、十二分に団体さんに伝え切れたと思います。 特に、行政をはじめとした関係者へのインタビューやアンケートで得られた内容は、非常に示唆に富む、貴重な情報だと考えています。 この場をお借りして、インタビューやアンケートにご協力頂いた皆様に感謝を致します。 お陰さまで、非常に充実した内容の報告書を団体さんにお渡しする事が出来ました。 お忙しい中でのご協力、ありがとうございました。 最後になりましたが、プロジェクトメンバーの皆さん、お疲れ様でした!
成果
見えていなかったハードルを越え、サービス認知拡大への道筋に大きな広がりが! 事業部署の「バイブル」となる成果物が完成。
プロボノメンバーはヘルプ協会たちかわが行っている移送サ―ビスの認知状況を把握するため、仮説をもとにケアマネージャーの方々に向けたアンケートを実施。また、団体担当者の紹介を得て様々な立場の方にヒアリングを行い、一定量の潜在ニーズと事業発展の可能性を明らかにしていきました。
同時進行で、調査を通じて見えてきた、サービスの情報を届けられていなかったステークホルダーに向けて、団体担当者の方でもプロボノのアドバイスを参考にアプローチを実施。
その結果、プロジェクト終了前から新たな機関からの問い合わせが複数入り、その後も新規利用者から続々と問い合わせが入っているそうです。
また、今回メンバーから「利用者目線でサービス内容をもっと分かり易く紹介するリーフレットを作成してはどうか」と提案のうえ作成したリーフレットは、早速ケアマネージャーさん等を通じて利用者の手に渡り、サービスを必要とする方の利用促進へとつながっているようです。
団体さんからは「頂いた成果報告書はまさにバイブルです。皆さんのお顔を思い出すと同時に、改めて効果の大きさに感謝しています。」という嬉しい言葉が届いています。
チームメンバー
- アカウントディレクター
- 須藤さん
- プロジェクトマネジャー
- 橋本さん
- ビジネスアナリスト
- 安野さん 足立さん
- マーケッター
- 西村さん