プロジェクト詳細
ヒューマンケア
誰もが困りごとなく生きられる、居場所と役割のある社会を目指して。思いと活動内容の発信へ
福生市で夫とともに学習塾を営んでいた半澤比呂美さんが、不登校という問題に直面してフリースクールを開き、NPO法人ヒューマンケアを設立したのは2003(平成15)年のこと。ひとたび画一的な学びのシステムからもれると戻ることが困難な社会の実態を目の当たりにし、「塾は目標に向かって上っていくようなところ。それとは別に、『いいのよ、そのままで』という間口をつくらなければ」と思い立っての始動だったそう。
半澤さんのこの言葉からは、設立以来、教育、介護を柱として活動してきたヒューマンケアの基底にある意志が垣間見えます。それは、誰もが困りごとを抱えず、主体的に選択して生きていける社会を目指すというもの。原点の教育事業においても、2006(平成18)年のデイサービス開設から本格化していった介護事業においても、支えを必要としてそこに来る人々の多様な価値観に基づき、選択肢を持てる運営に努めてきました。
例えば、サービス付き高齢者向け住宅「あじさい北田園」では、介護サービスやケアマネージャーを施設に抱え込まず、利用者が自ら選んだ介護サービスとともに入居すること、サービスを求めて出かけていくことが可能な体制に。半澤さんは、「自分なら、決められた時間割どおりに生きるのは嫌だなと思った。時間の使い方も、何をしたいかも、選べる自由がなければ人生豊かじゃない」と、高齢の人々の尊厳にまなざしを向けます。
その半澤さん自身は、団体の経営者であり、また教育事業の現場で教師であり続けた一方、子育てをしながら、認知症を患った義母を7年間、自宅で看続けたケア当事者でもありました。その後、夫の勧めで地域福祉について大学院で学び直し、従来の事業と並行して地域活動にも参画していくようになりました。
市井の人々の困りごとの解決に寄与するヒューマンケアの精神そのままに、現在、半澤さんが力を注いでいる地域活動のひとつが、地域包括支援センター福生と協働で2020(令和2)年から実施する「認知症家族の会」です。
「認知症は家族の関係性を変えてしまう。その入口にいる人たちが集うから、いっぱいいっぱいになって泣き出す方もいます。子育てをしながら介護をしてきた私の話を聞き、『同じ境遇の経験を聞けて、自分だけじゃないんだと救われた』と後から言ってくださった方もいました。大変なことでも共有できる仲間を持ち、月に一度吐き出してもらい、そこから1カ月の力にしてもらえれば」と半澤さん。
もうひとつ、2021(令和4)年に始動し、現在進行形で拡大しているのがフードレスキュー活動です。行政、福祉施設、農業者などから、ロスになりそうな食品を未然に引き取り、これまで培ってきた有志の市民とのつながりを活用しながら、必要とする人へ届ける道筋をつくってきました。現状では「来た球を受ける」構えでどうにか回しているものの、半澤さんは「ここから先、継続支援の必要な人が見えてくるはず」と考え、フードパントリー(食品配布会)を定期開催できる体制づくりも見据えています。
このように、現在の事業、活動は多岐にわたるものの、そのすべてを包み込むのが、まさに「ヒューマンケア」の概念だと半澤さんは考えています。コアにあるのは、誰もが困らずに生きられる社会への志。だからこそ、既存の制度からこぼれ落ちがちな人々の存在が、これから手を差し伸べていくべき領域として視界に入ってきています。
「私たちがずっとやってきた高齢者介護の領域には、介護保険という公的な制度があります。一方、ひとり親世帯、シングルの女性など、支援の対象か否かで線引きされ、もれていく人たちがいる。その上、ケアというのは女性がやるものなのだという圧もあり、休めなくてつらいよね、と思います。最近よく考えるのが、いずれ自分もひとりになるということ。誰しもいつかはひとりになり得るのですから、遠くの親戚ではなく近くの他人同士で、制度よりも前に動ける人とつながりを持てる社会、お互い様の社会にしたいのです。ひとりぼっちはつくりたくない」
<プロボノプロジェクトの内容>
今秋、協働するプロボノチームに期待されているのは、今日まで主体としてきた事業から今後の活動展開まで、包括的に伴走できる仲間と出会うための情報整理。これまで発信しきれずにきた団体の大きなビジョン、各部門の具体的な活動などをいかにしてまとめ、届けるかが課題です。
「発信したいのは、高齢の方も女性も子どもも含めた人々の背中を押す感じと、心と体の健康やフードも通して、『一緒に生きていこう』というメッセージです。これからも、主体の介護事業はもちろん、教育も軸として地域のつながりをつくっていきたい。現状では、活動全体を見る事務局的な人が私ひとりだけなので、これからの展開のためにも、同じ方向を向いて歩める人、地域のハブのような、旗振り役のようなことを一緒にできる人に出会えたらと願っています」
(本記事は2022年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)
団体基本情報
- 団体名
- ヒューマンケア
- 活動開始時期
- 2003/平成15年7月
- 所在地
- 〒197-0005 東京都東京都福生市北田園1-5-9
- ホームページ
- http://www.humancare.or.jp/
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進捗率
進捗状況
オリエンテーションを実施しました。チームのミーティングでは今回のプロジェクトへの意気込みや今後の進め方について話し合いを行いました。いよいよプロジェクトがスタートしました!
ヒアリング内容検討を実施しました。
チームメンバーと団体さんとの初の顔合わせとなる、ヒアリング会を実施しました。成果物の内容検討に向けて、現在の課題やニーズについて深堀をしていきました。
イメージ共有会を実施しました。プロボノワーカーからのプレゼンテーションとディスカッションを行い、チラシの完成にぐっと近づきました。
提案会を実施しました。プロボノチームから、前回から再調整したチラシのイメージの工夫点や、全体的な構成の意図について説明をしました。代表の半澤さんからは「短期間なのに、素晴らしい仕上がり。これがあれば今まで時間がかかっていた活動説明が楽になるし、いろいろなところに使えそう」と喜びの感想をいただきました。伴走をしていただいた福生市のお二人からも、「チラシがあることで、団体のさらなる活動の広がりに向けてより応援がしやすくなります」といったコメントもいただきました。
チームメンバーは、引き続き、更新がしやすく、印刷発注しやすいよう、最終調整のうえで納品をする予定です。
成果物の納品を実施しました。
全チームが活動を終え成果発表会を行いました。1カ月という短い期間ではありましたが、全てのチームの皆さんが団体に思いを寄せ、成果物作成に向けチームで取り組まれたことがわかる素敵な発表会となりました。参加された支援先・中間支援機関の方からも喜びや今後の意気込みのお声を頂きました。皆さん、本当にお疲れさまでした!!
成果
進化を続ける多様な活動を分かりやすくまとめ、地域への思いと共に発信!
チームメンバーは、代表半澤さんの思いと人脈によって、これまで広がり続けてきた活動の全容を理解するため、丁寧かつ計画的なヒアリングを行いました。 ウェブサイト上の情報やヒアリングで得た内容等を組み合わせながら、外部の人に分かりやすく伝えるため、情報を整理し、要点を抽出しながら構成を最適化するために試行錯誤をしていきました。
デザインも親しみやすく、活動にかける想いが伝わる仕上がりとなるよう、メンバーが一部イラストをオリジナルで作成するなど、細やかな工夫も行いました。
代表半澤さんや福生市のみなさんからも「一目見て感動しました」というコメントも頂くなど、大満足の仕上がりとなりました。
チームメンバー
- プロジェクトマネジャー
- 堀さん
- メンバー
- 伊藤さん
- メンバー
- 風間さん
- メンバー
- 鹿島さん