プロジェクト詳細
歌声広場よりみち
介護士が考えた、介護予防のエッセンスたっぷりの歌声広場に、ちょっと“よりみち”を。
「私はアコーディオンをやっていたことがきっかけでこの活動を始めました」
「私はミニお琴を弾いています」
「私は体操の指導と司会が担当で、事務局の運営もしています」
江東区を拠点に、月1回の歌声広場を運営する、歌声広場よりみちのみなさんたち。それぞれが、自身の持ち味を生かした役割を担いながら運営に取り組んでいます。個性や得意分野はさまざまですが、みなさんに共通するのが、実は、介護関係の資格を持っているという点です。
「長年、介護の仕事に関わってきましたが、これからは介護予防だ、というのがみんなの一致した考えです。だからこそ、歌を楽しみながら、介護予防の要素を取り入れたような歌声広場ができないかと、この活動を始めました」と、代表の今井直子さん。
活動を始めたきっかけは、あるとき今井さんが、施設に入居する高齢者の方から、「こんな歌声があったらいいなあ」とのつぶやきを耳にしたこと。立ち上げ当初は、隔月で、20人程度の規模で開いていた歌声広場は、人が人を呼び、2017(平成29)年度からは毎月1回に回数を増やし、いまや60人の定員が満杯になるぐらいの盛況ぶりとなっています。
人気の秘密は、その充実のプログラムにあります。季節の童謡や唱歌をみんなで合唱するところはあくまで序章にすぎません。続いて、往時の流行や話題などを取り入れた特集の歌があり、健康講話と脳トレを織り交ぜた体操があります。さらに、休憩時間にはこだわりのコーヒーとお茶菓子が振る舞われ、知らない人同士が打ち解けて話をするような機会が設けられています。休憩後にはこの歌声広場の看板アーティストともいうべきアコーディオン・ハーモニカ奏者の方の演奏で会場が盛り上がり、さらに、参加者の事前にリクエストを受け付けて過去のヒット曲を歌いながら昔を思い出す時間があり、そして最後は、「ふるさと」を手話を取り入れみんなで歌って終了します。
この盛りだくさんの内容で、参加費は1,000円。参加者のみなさんからは、「内容が豊富でおトク」という声も多くいただきます。
それでも、会場費やお菓子代、演奏者の方にお支払いするささやかな謝礼などを差し引くと、収支としては厳しいところ。さらに、こんな課題が・・・。
「実は、いま利用している施設が、1年後に改築が予定されています。いまのうちに、新しい場所で活動を始めたい。少し部屋の規模を大きくして、新しい人にも来てもらえるように、この活動をもっと広めていけたらと考えています」
「企業や施設から頼まれて、現地に出かけていって歌声広場を開催する出張型も始めるようになりました。ゆくゆくは、自分たちにも、ちょっとでも時給が払えるような、事業として成り立つものを目指せたら、という思いもあります」
介護関係者のみなさんの思いを結集した、歌声広場よりみちの活動は、数ある歌声広場のなかでも介護予防効果を強く意識した活動として、独自色を打ち出そうとしています。みなさんがつくりだす、明るい場の雰囲気も相まって、参加者からは口々に「歌声広場に出るために体調を整えています」「毎月の私の恒例行事にしています」「他の用事を忘れてしまうぐらい、歌声広場を楽しみにしているんです」という声が聞かれるほど、熱烈なファンも広がってきました。
相応の参加費を得て、歌声広場を運営するというしくみが成立すれば、歌声広場の新たなバリエーションとして、他地域にも広がっていくかもしれません。3年かけて成長してきた、歌声広場よりみちの活動を、さらに展開させられるかどうか。いよいよこれからが頑張りどころです。東京ホームタウンプロジェクトでは、歌声広場よりみちの特長や魅力をより効果的に伝えるチラシづくりを通して、参加する人の輪をさらに広げる取り組みを応援していきます。
(本記事は2017年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)
団体基本情報
- 団体名
- 歌声広場よりみち
- 活動開始時期
- 2014/平成26年12月
- 代表者名
- 今井 直子さん
- 所在地
- 東京都江東区亀戸
- ホームページ
- https://utagoehirobayorimichi.jimdo.com/
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進捗率
進捗状況
ヒアリング訪問し、団体の活動内容などを伺ってきました。
事前オリエンテーションを実施しました。
活動体験・現場視察を実施しました。
質問事項のリストアップを実施しました。
当日オリエンテーションを実施しました。
プロボノワークを実施しました。
成果物の提案を実施しました。
支援先からのフィードバックを実施しました。
成果物の納品を実施しました。
成果
歌声広場よりみちの特徴を伝えるだけでなく、自然と手に取ってみたくなるチラシを作成。
プロボノチームは事前にヒアリングを実施し、チラシのサンプルを作成したうえで1DAYチャレンジ本番当日に臨みました。チラシの体を動かしながら歌う様子を写した写真を載せ、「歌うだけでは終わらない!」という団体の理念を表面の上部に記載するなど、歌声広場よりみちの特徴が一目でわかるようなデザインに仕上がりました。また、他のチラシと一緒に棚に置かれても特徴が伝わるよう、縁の部分を色彩豊かにし、季節ごとに異なった色のパターンを作成しました。
一年を通じてチラシを活用できるよう、毎月開かれるイベントの開催日時や場所などの情報を団体のみなさんで簡単に修正できるようにしてあります。さらにチラシ配布や陳列する場所の提供を呼びかける際、介護予防の必要性を理解してもらうために活用できる、総務省による地域別高齢化率のデータを集めた表も作成しました。
団体スタッフの前田さんから「団体の特徴がわかるサブタイトルがチラシ上部にあることで、わかりやすく、カラフルで、これで集客が一気に増えるのではと期待しています。」というコメントを頂いています。
【支援のその後】
集客と持続的な経営を課題としていた「歌声広場よりみち」は2017年にチラシ作成、2018年に事業評価を支援メニューとしてプロボノプロジェクトを実施しました。成果物のチラシを通じて知名度や信頼度が上り依頼が増え、出張イベントの開催回数も増えています。事業評価では、イベントに継続的に参加してくださる方と、参加しなくなってしまった方を対象に行なったアンケートから、継続参加を得にくい原因には身内の介護や自身の入院といった高齢者ならではの要因があることがわかり、新しいアプローチの仕方を考える良いきっかけとなりました。今後は地方都市をはじめとして全国展開を目指し、ボランティアではなくプロとして料金を頂いてサービスを提供する、という形態について周囲の理解を得ながら、経営面での課題解決に取り組んでいきます。
[2019年7月、津田塾大学 森川ゼミ・伊藤(由)ゼミの協力により取材]
チームメンバー
- メンバー
- 荒巻さん 今村さん 白砂さん 長谷川さん 舛野さん