プロジェクト詳細
市民のためのがん治療の会
いまや、がんは“自分ごと”。だからこそ、がんについて語り合える場を身近な場所に。
「市民のためのがん治療の会」の代表を務める會田昭一郎さん。ご自身が舌がんにかかり、舌を切除するかどうかの瀬戸際を経験したことが、活動の出発点となっています。
「舌を切除してしまえば、会話に大きな支障が出ることは間違いない。そこで、海外のデータベースなども調べたりしながら、必死の思いで、大変な苦労をして情報を集めました。そして、治療まであと数日というところで、セカンドオピニオンを求めに北海道がんセンターに飛び、そのまま納得のできる治療を受けることにしました」と振り返る會田さんは、患部の切除ではなく、放射線治療という方法によって根治しました。
同会が取り組んでいる事業のひとつが、がん患者に対する「セカンドオピニオン」の提供。現在検討している治療方法について、第三者の医師の意見を提供し、本人の治療の判断の一助としてもらうもので、2004(平成16)年の活動開始以来、すでに1,400件以上のセカンドオピニオンの提供実績があります。協力する医師の数は60人。しかもこのサポートを、初回2,000円、2回目以後は1,000円という破格の費用で提供しています。
「最近では、医療機関にセカンドオピニオン外来などもできてきて、1回5,000円から1万円以上する場合もあります。私たちの会があまりに安いので、寄付をしてくださる方もいらっしゃるほどです」
市民の立場、患者の立場から、セカンドオピニオンの必要性を感じて立ち上げた活動に、医療機関や民間企業なども参入するようになってきたことは、この会が日本社会に残した大きな功績と言えそうです。さらに、同会では、セカンドオピニオンの提供を通じた、個々の患者支援に加えて、年4回程度、全国のさまざまな場所で、がんに対する意識を高める毎回200人規模のセミナーを開催しています。さらに、ウェブサイトを通じて毎週コラムを掲載し、広くがんとその治療に悩む人に向けた情報提供を行っています。
こうしたこれまでの活動に加えて、新たな取り組みとしてスタートさせたのが「語り合いの会」です。
「セミナーにはたくさんの方に集まっていただいていますが、一人ひとりの個人的なお話はできません。でも本当は、皆さん、それぞれの個人的なお話をしたい。その声に応えたいと思って始めました」
「語り合いの会」は、がん患者、その家族、サバイバー(がん治療の経験者)、そして、まだがんにかかっていない一般の人など、さまざまな人が集い、がんとその治療に関する認識を深めることを目的としています。この活動を“国立モデル”として、まずは国立市内で根付かせ、モデルとしての実績が確立されれば、他の地域にも広げていきたいと、會田さんは考えています。
「国立は例えば近隣地域と比較して大腸がんの検診受診率が低く、大腸がんの死亡率が近隣市よりかなり高いと言われています。こうした数字を改善していくことも目指しています」
全国で、がんによる死亡者数は年間約40万人、がんを患う人は年間100万人を超えると言われています。周囲の家族を含めれば、がんと無縁の人はいないと言えるぐらいの“身近な”病。にもかかわらず依然として低いがん検診の受診率にはまだまだ伸び代があります。市民のためのがん治療の会による、地域に根差した取り組みのモデルづくりの挑戦から、他地域にも普遍性を持った健康寿命延伸へのヒントが見つかるでしょうか。
ママボノチームが、「語り合いの会」参加者を増やすためのマーケティング基礎調査を実施します。
▼ママボノのご案内
http://www.servicegrant.or.jp/program/mamabono.php
(ママボノとは:育児休業などからの復職を視野に入れたママたちによるプロボノプロジェクトです。)
(本記事は2016年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)
団体基本情報
- 団体名
- 市民のためのがん治療の会
- 代表者名
- 會田 昭一郎 さん
- 所在地
- 東京都国立市
- ホームページ
- http://com-info.org/
- 解決したい課題別に探す
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- 支援内容別に探す
- 地域別に探す
- プログラム別に探す
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進捗率
進捗状況
チーム編成を実施しました。
キックオフ事前ミーティングを実施しました。
支援先の「語り合いの会」をママボノチームが見学。その後、昼食を食べながらヒアリングをし、語り合いの会発展のための課題だけでなく、日本のがん治療の課題もいろいろ聞かせていただきました。
キックオフミーティングを実施しました。
ヒアリングなどの調査内容を持ち寄り、チームミーティング。個室のある店で、ランチをしながらの打合せでした。
ママボノ10チームが一堂に会しての会場で、成果提案ミーティングを実施しました。
12月7日の成果提案ミーティングにお越しになれなかった代表會田さんへ、Skypeにて最終プレゼンを実施しました。
成果
自らのがん克服体験を活かして、少しでも多くの人に有意義な情報を提供したい。代表者の思いに応え、ママボノがマーケティング調査を実施。
市民のためのがん治療の会(COM)が運営する立川版「語り合いの会」への参加者をより多く集めるため、ママボノチームがマーケティング基礎調査を実施しました。
代表の會田さんが運営のほぼ全般を切り盛りし、ウェブでの情報発信などを理事の佐原さんがサポート、という少数精鋭の運営体制のCOMに対し、ママ7名が子連れで支援プロジェクトを展開。COMを応援するママボノメンバーの愛情で、パワーあふれるプロジェクトとなりました。
調査内容は、語り合いの会ユーザーの潜在ニーズや阻害要因、他団体の活動の実情など。がん患者やその家族のニーズから、会の価値を改めて洗い出し、会の運営や広報手段、新たな協力者を得るためのヒントなど、さまざまな角度からのご提案をしました。
【支援のその後】
「市民のためのがん治療の会」では現在、医師の診断後、様々な選択肢を考える必要がある、ということを広めようと活動しています。そのために、語り合いの会の一環として、参加費無料の「昭和の歌を歌う会」を企画し、二回開催しました。そこで高齢者にがんについての話をしようと試みました。公民館や25ある老人会でチラシを配布したり、市の広報誌に掲載するなど、広報活動は十分に行いました。200人の席を用意していましたが残念ながら約30人しか集客できませんでした。しかし、来た人の満足度は高く、会の終了後相談しに来た人がいたというところに、多少の成果は感じたそうです。今後はセカンドオピニオンやがん治療について話をする機会について、より効果的な企画や広報のあり方を検討しています。
[2019年8月、津田塾大学 森川ゼミ・伊藤(由)ゼミの協力により取材]
チームメンバー
- リーダー
- 佐藤さん
- メンバー
- 大澤さん 新野さん 鈴木さん 前田さん 吉島さん 村松さん