プロジェクト詳細
港区 高齢者支援課/港区社会福祉協議会
セキュリティの安心と、人とのつながりから生まれる安心と、その両立のためにできること。
地上40階、50階とそびえるタワーマンションは、いまや都心の風景を象徴する存在となりつつあります。ここ港区では、東京湾に面する臨海部を中心に、区内各地に高層のタワーマンションが建ちならび、その数およそ100棟にのぼります。
一時期まで人口減少が急速に進んでいた東京都心は、タワーマンションの建設にともなって一転して人口増加が進んでいます。
タワーマンションは、都心に活気を取り戻す役目を果たすとともに、地域づくりにおいては、いままでにない新たなチャレンジを投げかけています。
都内各地の地域づくり活動をサポートしている株式会社エンパブリック代表の広石拓司さんによれば、「タワーマンションに比べれば、多摩地域にあるようなニュータウンと呼ばれる団地のほうが地域づくりがしやすいことが分かってきた」のだそうです。「なぜなら、移り住んだ時期が同じでずっと長い間顔見知りの人が近くに多く、集会所や広場などもたくさんあって人が集まりやすい環境が確保されている。されに空き店舗を活用したコミュニティビジネスなども出てきており、意外と人がつながりやすい環境が身近にあるんですよね」。
これに対し、都心のタワーマンションは、移り住んできた住民がもともとつながりを持っているわけではないうえに、外部の人が建物に立ち入ることはもちろん、居住者であっても他のフロアへの行き来には厳重なセキュリティによる制限がかかっている場合もあり、集会所などのスペースが限られているため人が集まって交流できるような場所が少ない。同じ集合住宅といっても、従来型の団地とは異なる環境や条件下にあります。
たしかに、タワーマンションに住む人の中には、人との関わり合いを避けたいと思っている人もいます。一方で、家族の事情等により地方から呼び寄せられるかたちで移住してきた高齢者や、定年後の時間を活動的にすごしたいと考えるアクティブシニアのみなさん、仕事に子育てに忙しいファミリー世代なども多数暮らしています。そうした人の中には、タワーマンションの中でコミュニティをつくり、近隣どうしの交流を図るための取り組みを始めた人、始めようとしている人も少しずつ現れています。
港区と港区社会福祉協議会(以下「港社協」)では、地域特性のひとつともいえるタワーマンションにおける地域づくりを考えるため、いくつかのタワーマンションで、自治会活動やマンション住民によるコミュニティづくりに取り組む住民による懇談会を2018(平成30)年5月からスタートさせています。あるマンションの住民から、他のタワーマンションの住民との情報交換をしたい、という声が上がったのを機に、港区や港社協が声をかけた住民のみなさんや、さらには建物の管理会社なども交えて、年に数回、各タワーマンションの現状や取り組みについて話し合う場を設けています。住民からは、いま暮らしているタワーマンションを「終の棲家として、最期までこの場所で暮らしたい」という声などが聞こえてきます。タワーマンションに訪問看護ステーションを誘致する取り組みを行い、健康や体力を増進するプログラムを行っているといった事例なども出てきました。
都心にそびえたつタワーマンションも、そこに暮らす人にとっては生活の場です。いつまでも元気で暮らしつづけたいというニーズを実現するには、どのようなサービスやコミュニティが必要なのでしょうか。強度なセキュリティゆえに、近隣の住民の様子が見えづらいというタワーマンションの特性の中で、人とのつながりをいかに確保し、孤立に手を差し伸べたり、異変を察知して次の手を打つようなことができるのか。それは、タワーマンションを、ハード面のみならず、ソフト面においても住み心地のよい場所へと育んでいくことにつながるはずです。
そこで、プロボノプロジェクトでは、港区・港社協と連携しながら、タワーマンション住民に対するアンケートやヒアリングを通じた意識調査を行い、住民のニーズを把握するとともに、住民どうしのつながりや連帯を生み出すための具体的なアイデアや工夫について、区内外の事例をもとに提案していきます。
(本記事は2020年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)
団体基本情報
- 団体名
- 港区 高齢者支援課/港区社会福祉協議会
- 所在地
- 東京都港区
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進捗率
進捗状況
キックオフ事前ミーティングを実施しました。キックオフ事前ミーティングを行いました。すでにメーリングリストで活発に意見交換してきましたが、初めて実際にメンバーの表情を確認できると、オンラインでもやっぱりチームの一体感やプロジェクトに対する一人ひとりのモチベーションがグッと高まります。どうやら2020年の夏もアツくなりそうです。
キックオフミーティングを実施しました。
チームメンバーのほぼ全員が現地に集まり、東京タワーが間近に見える港区役所の会議室でのリアル開催となりました。
区民意識調査によると、港区に定住したいという意思を持つ人はおよそ9割という結果もあるそうです。
「この場所で最期まで住み続けるために何が必要か、というところから考えてほしい」といった、大きな問いをいただく場面もありつつ、プロジェクトの成果物のイメージや進め方について、いろいろな角度から掘り下げ、擦り合わせを行いました。地域のつながりが求められている、というときの「つながり」とは、具体的に何を意味するのか。タワマンに暮らす住民のみなさんの視点から、「つながり」に求めるものとは何か、どのような取り組みであれば受け入れられ、広がる可能性が高いのか、プロボノワーカーによる探索への期待感が随所から感じられるミーティングとなりました。
半年間のプロジェクトが、いよいよここから本番スタートです!
台風の影響で、予定されていた住民の方へのヒアリングは延期となりました。
港区内のタワーマンションで、サロン活動や自治会活動などに取り組む5人の住民の方への初回ヒアリングを実施しました。
対象事業・商品・サービス等の現状把握を実施しました。
すっかり日が暮れた芝公園の中にある会議室で、「調査方針」についてプロボノチームよりご提案しました。
真夏のキックオフミーティングから2か月余り、この間、プロボノワーカーはデスクリサーチや関係者への事前ヒアリングとチーム内でのディスカッションを重ねて、課題の現状把握を進めてきました。
支援先様のご承認も頂き、プロジェクトの方向性が具体的に決まりました。これから活動をますます加速していきます。 by AD荒井さん
提案に対するフィードバックと承認を実施しました。
個別ヒアリングを実施しました。
個別ヒアリングを実施しました。
マンション住民の方々、管理会社のご担当者、地域のふれあい相談員等、これまでに多くの方にご協力頂き、行ってきたヒアリングの結果、及び蓄積データの分析・調査等を基に、今後行うべき方向性について、提案を行いました。
引き続き、提案内容についての調整を行い、方針の具体化に向けてブラッシュアップを進めていきます。
12月22日の提案時のフィードバックをもとに、プロジェクトの方向性・進め方について、チームメンバーと事務局により協議を行いました。
チームミーティングを実施しました。
最終提案に向けたチームミーティングを実施しました。
港区社会福祉協議会とチームとの間で、最終提案に向けた事前打ち合わせを行いました。前回12月22日のミーティングの際のフィードバックを反映したチームからの提案に対して港社協から合意が得られ、プロジェクトの方向性が整いました。
チームミーティングを実施しました。
港区・港社協のみなさんに向けて、プロボノチームから最終提案を実施しました。
最終提案へのフィードバックを頂き、プロジェクトが完了しました!
成果
タワーマンションのコミュニティづくりに取り組むキーパーソンとのつながりづくりのプロセスや施策を提案
タワーマンション内で、住民どうしが「つながり」を築いていくための取組を促進するため、コミュニティづくりに関心を持つキーパーソンとの接点をつくるためのイベントの実施や、タワーマンションごとの活動状況を一覧で把握・管理する方法、成功事例を短い言葉で表現しひろく共有するための事例集を作成する等のアイデアを提案しました。
さらに、具体的な施策の案として、ホームページやSNSの活用、データベースの作成、イベントやマンションどうしの情報交換会の開催など、10件に及ぶ提案を行いました。