プロジェクト詳細
NPO法人 日本シニアジョブクラブ
私のお葬式はどうなるんだろう?
その心配に「大丈夫」と答えられる地域とは。
三鷹市を舞台に、高齢者の困りごとをサポートする有償ボランティア活動「便利屋ネット」を立ち上げたのは、NPO法人日本シニアジョブクラブの成清一夫さん。「今の僕の頭の中の半分くらいは2025年問題が入っている」という成清さんご自身、団塊の世代の一人として、いずれ年を取って手助けが必要になったときに、自分たちがお互いに助け合えるしくみを今から作っておきたい、という思いでこの活動を立ち上げたと言います。
2010(平成22)年に活動を開始して以来、20人弱の仲間とともに、近隣の高齢者から頼まれる家具の移動や電気器具の修理といったニーズに応えているうちに、とても大きな“困りごと”の存在に気づいてきました。「特に一人暮らしの高齢の女性は、私のお葬式はどうなるんだろうと心配している人が多い。だから、大丈夫だよ、やってあげるよ、と。年寄りの心配のひとつを解消しよう、と。そこからいろんなことを調べ始めたのです」
成清さんは、仏教について個人的に研究を深め、葬儀のこと、グリーフケアのことなど、多方面にわたって情報を集めるようになりました。
「あるとき、忘年会で葬儀の話題になって、すごい盛り上がって・・・。お坊さんの戒名料がどうだとか、とんでもない坊主がいたとか、そんな話がたくさん出た。お葬式ってちゃんとやらなきゃいけないんじゃない?という人がいるのに対して、いや、僕はこうやったよ、え?どうして、と話がずっと続くんだよね」
そこで、葬儀をテーマとしたセミナーを企画したところ、60人前後の会場が毎回一杯になる盛況ぶり。市民の関心の高さをひしひしと感じました。
「僕は、2025年の医療介護の先にある葬式、というものを考えている。高齢者が安心して死ねればいいなということで、それで金儲けをしたいということではない。そういう話をする場所がないので、うちならできるよ、と言ってあげたいだけ。おてんとさんの下で、そういう話を大きな声でするわけです。ふつうはタブーだけど、今は昔のようにみんな家族が近くにいる状況じゃないから、タブーにしているわけにはいかない」
そう言う成清さんご自身も、遠く離れた実家で暮らす父親に、宗派が何で、葬式はどのように行うことを希望していて、財産をどう保管していて、といったことを紙に書いて記録しておいたことで、お葬式の際にスムーズに運んだという経験があります。「僕の場合は子ども(自分)からそういう話を切り出したが、それを親から言いなさい、子どもからは言いにくいんだから、と同世代に向けて言いたい!」と力説します。誰もがいつかは迎える死という厳粛な出来事。その瞬間を、いかに本人とその家族が、納得できる形で迎えるか。そうは言われても、大っぴらに話しづらいものです。
「自分の死に方を自分で決めよう。何十年いろんな苦労をしてきたんだから、死ぬ時くらい自分の思い通りにしようよ」と言う成清さんは、家族や身寄りがいない高齢者でも、近所の人たちが個人を弔う「市民葬」という提案も含めて、本人や家族が納得できる葬儀の在り方とは何か、を問いかけています。
来るべき高齢社会、さらに、必ずやってくる多死時代に、一人ひとりが、そして地域が、どのように備えるのか。市民の目線から葬儀を捉え、団塊の世代から同世代に向けたメッセージを映像の力を借りて発信する、野心的なプロジェクトに挑戦します。
(本記事は2016年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)
団体基本情報
- 団体名
- NPO法人 日本シニアジョブクラブ
- 活動開始時期
- 2010/平成22年3月
- 代表者名
- 成清 一夫 さん
- 所在地
- 〒181-0013 東京都三鷹市下連雀4-17-31-201
- ホームページ
- http://jsjc.web.fc2.com/
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進捗率
進捗状況
新しくプロボノチームに加わったメンバーもそろって、本格的な打ち合わせが始まりました。今回制作する映像は「死と葬儀」という、一般的には話すのがためらわれるテーマであることから、それをどうアイデアで転換してみんなに見てもらえる映像にするかがポイント。この日の打ち合わせでは「どんな人たちに見てもらいたいか」から、制作する映像の方向性について議論を深めていきました。団体代表の成清さんも「今後の展開が楽しみになってきました!」と期待が高まったようです。
この日は、これまでのヒアリングや議論をまとめた映像のテーマ・方向性をプロボノチームの映像制作ディレクターから提案。「あれだけの意見をよくまとめたね〜」と、団体代表の成清さん即決で承認をいただきました。続いて、映像のストーリーについても台本3案をチームから提案。みんなで迷いながら話し合いを進めていき、最終的に1案に絞り込むことができました。これから詳細を詰めていき、年明けにはいよいよ実際の撮影、という段階に入ります。
撮影日は3月5日に決定。それに向けて、キャスティング、リハーサルなどを行っていきます!
今日は、これまで団体とチームの間で練ってきた企画に基づいて、街の小さな中華店を舞台に、出演者、スタッフ総勢20人が丸一日、撮影に臨みました。プロの役者と撮影スタッフの皆さんが作る現場はよい緊張感に包まれ、ユーモアのあるシーンも全力、迫真の演技。普段はなかなか話すことのない「お葬式」というテーマも、これを見たら、きっと隣の人と話したくなる。そんな映像作品の完成までもうすぐです!
仮編集を実施しました。
仮編集試写を実施しました。この映像で伝えたいことができるだけわかりやすくなるよう、最後の部分の表現を再度検討の上、音声等の細かい調整をこれから行います。
細かな編集、音響調整などを経て、ついに映像が完成しました! 「家族で話そう、この世の気がかり」。日本シニアジョブクラブホームページまたはYoutubeからも直接ご覧いただけます!
成果
死と葬儀がテーマの前代未聞の映像制作に挑戦したプロボノチーム。大事なことだから「家族と話そう、この世の気がかり」。
日本シニアジョブクラブ・代表の成清さんが、地域で高齢者の社会参加や高齢者サポートの活動をする中で、あまりにも葬儀をはじめ人生の終わりに起きることについて家族とも、誰とも話していない人が多いということに気づいたことがきっかけとなった本プロジェクト。プロボノチームは、映像制作専門のプロボノ支援を行っている「PVプロボノ」のメンバーの皆さんが担当しました。
「縁起でもない。」と言って家族で事前に話し合うことを避ける人も少なくなく、葬儀後に、これでよかったのか、と後悔してほしくない。人生の締めくくりのために準備をしてほしいという成清さんの思いに、まずはしっかりと耳を傾けることから、プロボノチームはスタートしました。
映像の企画内容を検討するにあたっては、3つの企画案をプロボノチームが用意。みんなで吟味した結果、中華屋を舞台にした企画を選び、出演する役者さんやロケ地探しにチームメンバーが奔走しました。通常のCM制作等では、2日間かけて撮影するような50カットもの撮影を1日にぎゅっと詰め込んで朝から晩まで撮影。日常の延長上に感じられるような設定のドラマ仕立てで、自然と隣の人や家族と葬儀についても話せるような、そんな雰囲気の映像が完成しました。
団体代表の成清さんからは、「最初はプロボノメンバーが若い人ばかりで理解してくれるのかどうか、と思ったけれど、しっかり話を聞いてこちらの思いをわかってくれた」という感想とともに、早速、この映像の存在を知らせるような広報計画を立てていきたいと力強いコメントをいただきました。
▼映像はこちらからご覧いただけます
https://youtu.be/uKfERwIxVdE