大田区 マーケティング基礎調査

NPO法人 オレンジアクト

認知症への備えを若い世代に働きかける。大田区のまちかどから生まれるイノベーションの卵!?



通りに目立つような看板も出てなければ、受付カウンターもないクリニック。それもそのはず、高瀬義昌医師が運営する「たかせクリニック」は、訪問診療を中心にしたクリニックなので、いわゆる“ふつう”の病院のイメージとは趣を異にした、率直に表現すると、町工場の事務室のような感じがする場所でした。

にこやかな事務室の人に促されて、院長のお部屋に通されると、前のアポイントの人を勢いで紹介され、その人と入れ替わりに席に腰を落ち着けるや否や、先生のお話が気づくと始まっている、という感じ・・・。

「2020年には、日本全体で約3000万人の高齢者のうち、600〜800万人の人が認知症になる。認知症というのは家庭生活や社会生活に支障をきたす状態と言われているわけですが、家庭生活をなんとか送れている、けど、認知症のハイリスクグループという人はさらに400万人、学者によっては1000万人とも言われる。誰にしわ寄せが行くかって? 若い人の肩にずんとのしかかるでしょ」

その独特な言い回しと個性に圧倒されながら、オレンジアクトの活動のきっかけを語り始める高瀬院長。そう、NPO法人オレンジアクトは、認知症の家族などと向き合って訪問診療中心のクリニックとしてこの地で開業した高瀬先生が、認知症に対する意識を若い世代を中心に幅広く社会全体で高めていこうとする取り組みとして、2013(平成25)年にスタートしました。

立ち上げた当初は、秋葉原や表参道などの華やかな場所で、チラシの配布などの啓発活動に打ち込んでいたのですが、やがて、ただ情報発信をするだけでいいのだろうか、と、活動を問い直しはじめました。そこで行きついたのが、ここ地元・大田区で、もっと地域に根差した活動を、そして、最も重要なことは、人びとの「行動変容」につながるような活動へとシフトしよう、という方向性でした。

そこで、認知症の人の介護をするまだ手前にある、20代から40代ぐらいの若い世代の人に対して、まずは認知症の重要性を意識してもらうような、講演やトーク、ワークショップを織り込んだイベント企画に着手しました。認知症の人の行動様式を取り入れたアプリを搭載したロボット「ニンニンPepper」なども登場し、子ども連れで楽しめるようなネタは、高瀬先生のネットワークを通じていろいろ集められるらしく、なんとなく愉快なイベントになりそうな予感。さらには、AIを使ってイベントの様子を解析し、eラーニングの手法で他地域に配信する仕組みを開発した研究者ともお仲間ということで、ここでいいコンテンツが生まれれば、地元の住民だけに向けた内容ではなく、全国に展開できる可能性も広がります。高瀬先生の止まらないお話と構想のなかで、モコモコと夢は大きくなっていくわけですが・・・!

でも、ですね。あえて伺いますが、行動変容というときに、本当に「意識」を高める、というだけでよいのでしょうか?
この問いを発端に、高瀬先生の原点をなす「家族療法」というアプローチが浮き彫りになってきました。

突然なようですが、ここで、高瀬先生の経験談をひとつご紹介しましょう。
訪問診療先の患者さんで、喘息で不登校になったお子さんの例です。ご両親が子育てを放置がちで、毎晩飲み歩いており、しかも、両親とも別々の場所で飲んでいるという、家庭崩壊のような状態にあった家族。そこに、高瀬先生は、一風変わった「処方箋」を出しました。それは、「週1回、夫婦一緒に飲みに行くこと」。な、なんと、この処方がピタリと当たって、2週間後に、お子さんの喘息が止まったというのです。

まるで医学の常識では考えられないようなエピソードですが、夫婦が一緒にお酒を飲んだ時に、子どもの喘息のこと、薬や生活のことを話すようになり、また、夫婦のコミュニケーションが改善したことで、子どもとのコミュニケーションも改善したことが、症状の改善につながった、というのです。

「本人を診察しているようで、家族全体を見ている。実はそれがやりたくて訪問診療をやってるのかもね」

その文脈から、オレンジアクトで取り組もうとしている活動を見てみると、見事なつながりが見えてきます。
20代から40代の若い人に、認知症のことを知ってもらう。そうすれば、おのずと、自分の親の将来を考えるようになる。きっと親に何かの働きかけをしたほうがいいと思うようになる。近所のサークルに入ってみるといいんじゃない、とか、ボランティア始めたらいいんじゃない、とか、そんな簡単な声がけでもいい。若い世代が、真剣に親世代のことを心配して、何らかの働きかけをする。その行動が、親世代を動かし、地域や社会への参加につながる。その結果、認知症のリスクが下がるのでは? そこに高瀬先生の狙いがあります。

大田区と言えば、町工場から生まれるオンリーワンのものづくり。
奇しくも、一見すると町工場のような外観をした訪問診療中心のクリニックから、ひょっとして生まれるかもしれない、世界規模のイノベーションの卵。そう考えるだけでも、夢のある話のように感じます。もちろん、本当に夢が叶うかどうかは、やってみないと分かりません。でも、認知症という、迫りくる巨大な脅威に立ち向かうために、何か行動しなければ始まらない、という思いが、高瀬先生を突き動かします。
認知症を食い止めるための壮大な実験。
そこに、プロボノワーカーが参画し、イベント参加者の声を聞き、実際の反応をみながら、プログラムをよりよいものに改善していくマーケティング活動で応援します。

団体基本情報

団体名
NPO法人 オレンジアクト
活動開始時期
2013/平成25年9月
代表者名
高瀬 義昌さん
所在地
〒146-0092 東京都大田区下丸子1−16−6
ホームページ
https://orangeact.org/

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チームメンバー

アカウントディレクター
河田さん
プロジェクトマネジャー
山下さん
マーケッター
磯崎さん
松本さん
桑山さん

進捗率
完了
進捗状況

最終更新 2018.04.14
2017.06.27

オレンジアクトさんの活動拠点であるたかせクリニックにてヒアリングを実施しました。

2017.09.01

キックオフ事前ミーティングを実施しました。

2017.09.13

キックオフミーティングを実施しました。今後のマーケティング調査の方向性についてオレンジアクトさんから合意を得ることができました。イベントに関する具体的なアイディアも少しずつ出てきて、双方プロジェクトへの期待感がさらに高まりました。

2017.09.13

キックオフミーティング後に最寄りの武蔵新田駅前の商店街にて打ち上げを行いました。オンとオフを切り替え、プライベートな話も交えて盛り上がりました。

2017.10.15

活動現場見学・体験を実施しました。

2017.12.08

対象事業・商品・サービス等の現状把握を実施しました。

2017.12.15

調査方針提案を実施しました。オレンジアクトが開催するイベントの参加者へのヒアリングに加え、オレンジアクトを知らない一般の人を対象に行ったヒアリングから得た、認知症に対する備えに関する情報をまとめ、今後の調査においてフォーカスするべきターゲット層について提案しました。今回の調査で見えてきたことは、育休中のママさんが家庭全体や職場のインフルエンサーとなりえる可能性を秘めているということでした。この提案に対して、オレンジアクトのみなさんもこれまでと異なる切り口に関心と納得を示していました。今後はより具体的にママさんたちにリーチする方法を調査していくとともに、それ以外のターゲット層の認知症への備えに関する関心レベルや、情報収集の方法などについて調査を行っていきます。

2017.12.15

調査方針提案の様子(2)

2017.12.31

提案に対するフィードバックと承認を実施しました。

2018.02.12

個別ヒアリングを実施しました。

2018.03.01

ヒアリング以外の調査を実施しました。

2018.04.13

調査報告・最終ワークショップを実施しました。チームは調査方針提案以降、「育休中のママ(パパ)」への具体的なアプローチの方法の調査や、約150名の働き世代の男女を対象とした、日常の関心ごとや認知症への備えについてのアンケートを行ってきました。その結果、「育休中のママ(パパ)」へのアプローチとして、児童館などでPRすること、子育てイベントとの協業や、子どもや親世代も一緒に参加できるコンテンツを用意することを提案。また、より広範囲に働き世代をターゲットとする場合、「お金」「健康」「仕事」といった年代や性別を超えた共通の関心ごとを絡めたイベントを開催することを提案しました。オレンジアクトのスタッフからは「どのようにして対象者に自分の関心ごとにしてもらうか、他のテーマと絡めるかを考えないといけないと思った」や「子育て世代、とくに育休中のママが動くと、きっと家族や同僚なども巻き込んでいけるのではないかと思う」といった感想を頂きました。さらにワークショップでは、オレンジアクトが持つ広いネットワークを活かした具体的なアプローチを洗い出しました。

2018.04.14

報告に対するフィードバックと承認を実施しました。

成果

働き世代へのアンケートやヒアリングから認知症への備えに対する意識を調査。イベントの新たなターゲット層と内容を提案

プロボノチームは約半年間にわたって、団体が開催するイベントの参加者や30〜50代の男女約150名を対象としたアンケートや、一部アンケート回答者への個別のヒアリングを行い、日常の関心ごと、認知症に関する知識や、家族や自分が認知症になったときの備えを行っているかなどをリサーチしました。

その結果、「育休中の女性(男性)」が家族全体に影響を与え得る、有効なターゲット層であること、年齢・性別を超えた関心ごととして「お金」「健康」といったテーマがあること、などが明確になりました。調査結果を受けて、最終ワークショップでは、オレンジアクトの広いネットワークを活用した企業・介護福祉専門職への働きかけや、行政の子育て支援に関わる部署との打ち合わせの場を設けるといった、数か月以内に実行できる具体的なアクションを洗い出すことができました。

オレンジアクトのスタッフからは、「どのようにして対象者に自分の関心ごとにしてもらうか、他のテーマと絡めるかを考えないといけないと思った」「子育て世代、とくに育休中のママ・パパが動くと、きっと家族や同僚なども巻き込んでいけるのではないかと思う」といった感想をいただきました。


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