プロジェクト詳細
社会福祉法人 大洋社 ひまわり苑・コスモス苑(児童福祉施設)
地域との交流が、母子の自立になり、エンパワメントになる。
ここでも、地域の出番です。
大田区を拠点に活動する社会福祉法人大洋社は、区内に2ヵ所ある大田区立の母子生活支援施設等、児童分野の事業運営を担っている団体です。母子家庭支援施設とは、DVや生活困窮など、何らかの事情で家庭環境での暮らしができない母子を保護しながら、生活の場を提供し、自立を促す施設のこと。通常の場合、最長で概ね2年間、母子を受け入れ、その間の自立を目指した支援を行っています。
数ある母子生活支援施設の中でも、ここ大洋社では、他の施設にないユニークなプログラムを導入しています。「れいんぼう」と名付けられたそのプログラムは、名前の通り、一色に染まらない多様で、つながりのある支援を意味しています。「学ぶ」「食べる」「動く」「体験する」という4つのカテゴリごとに、漢字・英語・パソコン検定にチャレンジしたり、子ども自身も料理を作る経験をして、それをみんなで食べたり、といった体験と実践を取り入れた内容です。この「れいんぼう」の中でも、特に重視しているのが、施設の外とのつながりづくりです。
町会のお祭りに参加したり、近隣の高齢者施設を訪問したり、施設の外に踏み出す活動に積極的に取り組んでいます。
実際、周囲の町会・自治会の人に相談に行ってみると、「手伝えることがあれば手伝うよ」という気安い返事が聞かれ、民生児童委員の人に相談しても「協力します」と即答が返ってきます。近隣の高齢者施設からは、子どもたちが来ることで入居者たちも活気づくのでまた来てほしい、という声も。
一般的に、母子生活支援施設という施設の特性上、プライバシー保護などの観点からも、地域外との交流に二の足を踏んでしまう施設が多い中で、「実際に動いてみると、すぐそこに、支えてくれる人はたくさんいた、ということに気づきました。地域の人たちとの交流を通じて、社会性を身に付ける、ということが、自立であり、エンパワメントにつながると考えています」と、大洋社常務理事の斎藤弘美さんは、地域とつながるプログラムの重要性を唱えます。
そこで、大洋社が、実践を通じて蓄積した経験を共有し、他の母子生活支援施設でも、こうすれば地域とつながることができる、こうすれば地域の善意を引き出すことができる、というノウハウを伝えていきたいと考えています。
プログラムの運営に関わったスタッフの皆さんに伺うと、最初は大変だった、と口をそろえます。それでも、このプログラムを始めるときに、スタッフミーティングで目的をしっかり共有したことで、スタッフが納得して、忙しい業務のかたわら、地域とのつながりをコーディネートする活動に向かってくれたこと、その日の活動が終わったときには必ず振り返りをし、また、感謝の気持ちを文字に表して関わった地域の人たちに届けていること、など、このプログラムが、そこに関わる母子はもちろん、地域の人びと、そして、運営スタッフにまで満足感を与えるものになっているには、いくつもの成功のポイントがあります。
他の母子生活支援施設に先駆けた、大洋社の新たな取り組み。そこから活動を円滑に実現する大事なエッセンスを発見し、ノウハウを共有するために、東京ホームタウンプロジェクトでは、「れいんぼう」プログラムの進め方や押さえておくべきポイントを文字化し、マニュアルを作成するプロジェクトに挑戦します。
(本記事は2016年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)
団体基本情報
- 団体名
- 社会福祉法人 大洋社 ひまわり苑・コスモス苑(児童福祉施設)
- 代表者名
- 常務理事 斎藤弘美さん
- 所在地
- 大田区内
- ホームページ
- http://blog.livedoor.jp/himacos/
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進捗率
進捗状況
チーム初顔合わせとなるキックオフ事前ミーティングを実施しました。地域に貢献したいという熱い思いは同じながらも、様々なバックグランドをもつメンバー、お互い学び合うことがたくさんありそう!と非常に前向きな雰囲気でミーティングが進みました。
キックオフ事前ミーティングを実施しました。
本日は、大洋社ひまわり苑さんの事業マニュアル作成プロジェクトのキックオフミーティング!支援先とプロボノチーム全員が初顔合わせとなる場でした。 ミーティング前に、マニュアル作成の対象である「れいんぼう」事業の現場見学をしたメンバー。事業のインパクトを体感した直後で、より熱量高い雰囲気のなか会が進んでいきました。とはいえ、「プロジェクトを山登りで例えると、どの頂点を目指すのか、皆でしっかり目線を合わせることが大事です」と、プロジェクトマネージャー神さんのしっかりとした仕切りのもと、ゴールやスケジュール感等を確認していきました。
キックオフミーティングを実施しました。
プログラム見学を実施しました。
個別ヒアリング(内部)・業務分析を実施しました。
中間提案事前ミーティングを実施しました。
キックオフから2か月弱、プロボノメンバーは事業の理解を深め、課題を整理するために、 実際の事業活動への参加したり、二十名弱の関係者の方々へヒアリングを行ってきました。メンバーで議論を重ね、団体の強みと課題を整理。そのうえで迎えた「中間提案ミーティング」では、成果物である事業運営マニュアルのコンセプトをご提案しました。丁寧なヒアリングや議論の積み重ねのかいあって、提案内容には大変好評いただいたようです。
中間提案を実施しました。
中間提案に対するフィードバックと承認を実施しました。
プラン策定(目次構成案、サンプルページ、制作スケジュール)を実施しました。
プラン提案を実施しました。
プラン提案に対するフィードバックと承認を実施しました。
ドラフト作成を実施しました。
ドラフトレビューMTGを実施しました。レビューでは、大洋社のみなさまから、「まで口伝されていた知識が見える形でまとまって、わかりやすいです!」とのコメントをいただきました。納品まであと1週間。最後のブラッシュアップにとりかかります。
マニュアルの構成、内容についてプレゼンしています。
納品・引き継ぎ・打ち上げを実施しました。成果物である「運営マニュアル」を納品し、マニュアルの作成方針や構成、各章のポイント、効果的な活用法などをプロボノワーカーからプレゼンテーションしました。事業の全体像が把握できる、とてもよいマニュアルと支援先みなさまに評価いただきました。
成果
事業のビジョンや新規立ち上げのプロセスから、関わる職員の役割・キャリアビジョン、プログラムの具体的な運営まで、事業の全貌が把握できるマニュアルが完成
大洋社が母子生活支援施設で実施している「れいんぼう」事業について、より強固な運営体制の確立へ貢献することをめざして、事業運営マニュアルが作成されました。
プロジェクト開始当初、大洋社の皆さんより、「私たちの事業を行う“思い”(=ビジョン)が、ベテラン職員から若手職員、また、この事業に関心をもつすべての方に伝わるものを作ってほしい」という難しいお題をいただいていたプロボノチーム。れいんぼうの活動へ実際に参加し、ヒアリングを重ね、既存の資料を収集・分析するにつれ、大洋社のビジョンに心から共感し、「れいんぼう」の発展の力になりたいと、メンバー一丸となって取り組みました。
「れいんぼう運営マニュアル」は、数ある個々のプログラムを実行するための方法だけではなく、ビジョンや事業の位置づけ、関わる職員の役割からそのキャリアビジョン、新規に事業を立ち上げる際の具体的な進め方までを含んだ内容となっています。大洋社職員の方々にも、「先輩の知恵袋」コーナー執筆のために、一人ひとりが行っていた工夫、知恵をたくさん出していただきました。まさに、「みんなで一緒に作ったマニュアル」が完成し、「これは私たちの宝物になる」という嬉しい感想をいただきました。
「全体像が分かるところが一番いい」「ヒアリングの中から強み、弱みを的確に探し出していただいた」「新規事業の立ち上げ方、新人育成を見据えた先輩の目線があるのは、今まででないもの」と、口々に職員の皆さん。多くの要素を適切に構造化し、膨大なとりまとめ作業を行ったプロボノワーカー。疲れを微塵も見せず、「みんなで大洋社さんのビジョンに共感したからこそ!」と全員が大ファンになった様子。「生涯応援していきたい」という力強いコメントも出ました。
マニュアルが活用され、バージョンアップしながら、事業と人の発展と広がりに貢献できますように。今後の活躍が大変楽しみです。
【支援のその後】
ひまわり苑での「れいんぼう」の活動は5年目になります。当プロジェクトのプロボノワーカーから得た成果物は、れいんぼう事業に携わる職員が使用するれいんぼう運営マニュアルです。マニュアルには職員内で共有できるようにれいんぼうのビジョンや、職員のキャリア形成について、プログラム実行の手順、先輩の知恵袋、新規事業立ち上げについてのノウハウなどが記載されており、一冊のマニュアルで情報共有が可能になっています。これにより、業務の効率が上がり、職員同士の打ち合わせの時間を持ちやすくなりました。児童や親御さんにとって一人ひとりに合ったより良い体制を整えられるよう、継続的にマニュアルを改良しながら、連携している法人や地域の方々が一丸となって活動に取り組んでいます。
[2019年7月、津田塾大学 森川ゼミ・伊藤(由)ゼミの協力により取材]
チームメンバー
- アカウントディレクター
- 貞光さん
- プロジェクトマネージャー
- 神さん
- ビジネスアナリスト
- 片山さん 香月さん
- マーケッター
- 立野さん 石崎さん