プロジェクト詳細
けめカフェ
一つ屋根の下に多世代が憩う。懐かしい風景を新しい形で地域に取り戻すために。
品川区の住宅街に今年(2018年)1月に誕生した、真新しい建物。ガラス張りで明るく、階段のないフラットなエントランスを入ると、次に目に飛び込んでくるのはオープンキッチン。じつはこのキッチンをはさんで左側が、要介護認定を受けている高齢者を対象とした「看護小規模多機能型居宅介護ホーム」としての介護・看護スペース、右側が0〜2歳児を預かる保育園スぺ―スとなっています。このちょっとめずらしい拠点が「けめともの家・西大井」です。
ここを運営する株式会社ケアメイトは、在宅介護を専門分野として、“幼・老のつながりが生まれる空間で、地域での役割を持ち続ける暮らし”を目指し、こうした一つ屋根の下に、おじいちゃんとおばあちゃん、子どもとその親もいるような地域ぐるみの拠点づくりに力を入れています。
ケアメイトの代表取締役である板井佑介さんは、以前から、つながりの希薄さが課題となっている都市部の地域において、“お互いさま”の活動、そして多世代のゆるやかな連携を作っていくことができないか、と考えていたそうです。
その中で会社としての取り組みとは別に生まれてきたのが「けめカフェ」としての取り組み。ケアメイトが運営する介護事業所のスペースを活用し、地域の誰もが参加できる交流イベントを、2015(平成27)年からまずは品川区八潮にある「けめともの家」で開催してきました。
「最初の1年はさまざまなイベントを行いましたが、八潮のスペースは大規模な団地内にあるという環境もあって『子ども食堂』の活動が定着しました。今年(2018年)3月から、ボランティアの方々が中心になって運営してくれています。ここ西大井は、1月にできたばかりということもあるけれど、八潮と違って住宅街の中。オープンしてからこれまで、この建物のウッドデッキのペイントをするワークショップや、サッカーワールドカップの観戦イベントなどを行ってきましたが、近隣住民の方々にはどういう場所なのか、まだあまり知られていないと思います」
板井さんとともに、「けめカフェ」の立ち上げメンバーとなっている小泉美智子さんは、ケアメイトの職員というわけではなく、品川区八潮に長く住み、他のイベントで介護現場をより良い環境にするために、コミュニケーション(関係づくり)の講演をした時に板井さんと知り合ったそうです。
「子育てと介護の分野での自立支援に仕事で携わってきたので、そこで得た経験を何かの形で地元に還元できないかなと思っていました。それに私自身、仕事を引退したら、『けめカフェ』で子ども食堂など地域の活動をして、もしも介護が必要になったら利用者として『けめともの家』で過ごして…、ゆくゆくはそんな楽しみもあるなあと思って、この活動を盛り上げていきたいなと思ったんです」と小泉さん。
先に取り組みが始まっていた八潮のスペースでは、これまで、子ども食堂のほかに、認知症についての講座や、介護する家族のためのケアラーズカフェ、子育て世代向けの勉強会、料理教室、片付けセミナー、絵手紙やキャンドルといった手作り講座、ハロウィンイベントなど、多種多様な企画を実施してきた経験があります。次なるステージを考える時期に来ている八潮、これから活動を本格化させる西大井、それぞれの拠点で、どういった企画内容であれば、地域の幅広い世代が関心を持って集い、自然とつながりが生まれていくのでしょうか。
「そういえば八潮でも西大井でも味噌づくりや草木染、ウッドデッキのペイントのようなモノづくり系のイベントは人気がありました。でもよく考えると、いろんなイベントをやり過ぎて、参加者が定着しないという面もあるのかもしれない」と振り返る板井さんと小泉さん。「けめカフェ」の活動は、ほとんど2人で企画・運営をしてきたので、これまでの活動をあらためて整理する時間もなかったと話します。
「これからは、地元の人たちにも仲間になってもらいながら“地域住民発”の活動にしていきたいので、こんな風に参加できるよ、こんな役割をサポートしてもらいたい、といったメッセージも住民の皆さんに伝えていきたい」という2人の思いも汲み取りながら、「けめともの家・品川八潮」「けめともの家・西大井」を拠点とした「けめカフェ」の在り方を探るプロジェクトが始まります。
(本記事は2018年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)
団体基本情報
- 団体名
- けめカフェ
- 活動開始時期
- 2015/平成27年4月
- 代表者名
- 板井 佑介、小泉 美智子
- 所在地
- 〒140-0003 東京都品川区八潮5-6-37 品川八潮パークタウン潮路南第一ハイツ109
- ホームページ
- https://www.facebook.com/kemecafe/
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進捗率
進捗状況
事前オリエンテーションを実施しました。
質問事項のリストアップを実施しました。
プロボノワークを実施しました。
成果物の提案を実施しました。
成果物の納品を実施しました。
支援先からのフィードバックを実施しました。
成果
目指す方向性を“問い”を通じて見つけていったプロボノチーム。イベント内容のみならず、地域住民のさまざまな関わり方についても提案。
品川区内で、八潮地区と西大井地区にある「けめカフェ」。八潮のけめカフェは大規模団地の一角にあり、一方、西大井のけめカフェは住宅街の中でオープンなつくりの建物というそれぞれの環境の特長を活かしながら、地元地域の皆さんに継続的に、けめカフェの活動に関わってもらえるような定期的な企画も含め、プロボノチームと一緒に年間のイベントカレンダーを制作しました。
今回のプロボノチームは、インテリア設計を専門とする企業の社員チーム。西大井と八潮の2拠点を実際に見学したうえで、数多くの建築設計にかかわってきたチームとしての経験を活かしながら、事前に準備したインタビューシートをもとに「けめカフェとしてイベントをするときに最も重要だと思うことは何か」といった団体の方への“問い”を通じて、団体が目指す活動の方向性を明らかにしていきました。過去のイベント内容や実施結果などについても団体の方にヒアリングを行い、今後のイベント案を検討していきました。
地元の人たちといっても属性はさまざまなため、“まち図書室”から大人向けの“バー”まで、外国人メンバーを含むグローバルなプロボノチームならではの、多彩なアイデアを提案。また、住民が関わる度合いについても、例えば図書室なら、本を借りるだけでもよし、読み聞かせに使ってもよし、読書会を開いてもよし、と多様な関わりができるような提案を行いました。
団体の方からも「地域活動の主役は、団体ではなく地元住民の方々なんだということを改めて気づかされました」というコメントを頂きました。
チームメンバー
- メンバー
- 梅野さん Espositeさん Kimさん 渡邊さん 菅沼さん