プロジェクト詳細
一般社団法人 コミュニティ・カウンセラー・ネットワーク
ストレスとの付き合い方を知れば、社会が変わる。身近なコミュニティに「心の安全地帯」を。
長年、学校や民間のクリニックなどで心理教育カウンセラーとして勤務してきた田中純さんが、東日本大震災をきっかけに設立したのが「コミュニティ・カウンセラー・ネットワーク(以下、CCN)」。“一家/一課に一人、周囲の心に寄り添う、市民による市民のためのカウンセラー”を掲げ、家庭や学校、職場、地域の身近なコミュニティの中に、つらい気持ちや苦しさを安心して話せる人を育てる活動を行っています。
「子どもがいじめに遭った時に、家族は子どもにどう声をかけたらいいか。悩みを抱えている部下に対して、上司ができることは何か。東日本大震災のような未曾有の災害が起きた時、仮設住宅で孤立してしまう高齢者の方の心の負担を和らげるにはどうしたらよいか。専門職ではなくても、身近に安心して話せる人がいることが大きな支えになります。そうした心の安全地帯を、コミュニティの中にできるだけたくさん作りたい」と田中さんは話します。
CCNの活動の中心は、2種類の講座開催。入門編である「ストレスマネジメント入門講座」では、2時間の中で、ストレスの正体、仕組み、そして7つの項目にまとめられたストレスとの付き合い方を知り、ストレスのセルフマネジメントの方法を理解していきます。その受講修了者に向けて用意されているのが、「コミュニティカウンセラー養成講座」。今度はいよいよ、学んだ知識やスキルを周囲の人たちのために役立てていくためのステップです。カウンセリングのスキルを学び、相手とのコミュニケーションに関する演習を含めたプログラムを、丸2日間かけて受講。この講座の修了者は、CCNが発行する「コミュニティカウンセラー」の資格を取得することができ、自身がカウンセラーとして地域で活躍する準備が整います。
入門講座は、中央区の「協働ステーション中央」で月1回定期開催するとともに、三鷹市、新宿区でも開催実績があります。さらには宮城県気仙沼市、熊本市の被災者を支援するグループや、全国の小児がん患者の家族を支えるグループに対しても講座を実施してコミュニティカウンセラーを数十名規模で養成。企業単位での受講も合わせると、入門編の受講者は延べ800人を超えます。うち半数以上が、「コミュニティカウンセラー養成講座」も受講するといいます。コミュニティカウンセラーとして活躍している人は30代から60代以上まで幅広いそうですが、最高齢の方はなんと86歳! 遠隔地でのカウンセラー養成に向けて、CCNでは「ストレスマネジメント講師養成講座」の実施にも着手しています。
もう一つ、力を入れている活動が「和カフェ」。講座という形ではない気軽な語らいの場として、世田谷区をはじめ都内各地で毎回テーマを設けた集まりを開いています。60代以上の人が“生きる”をテーマに話をする回、シングルファーザーの集まる回、子育てについて語り合う回など、テーマはさまざまで、CCNのコミュニティカウンセラー資格を得た人が、必ずファシリテーターを務めています。
このように、活動は広がりを見せていますが、現在の入門講座の受講者は、年間平均100〜120人程度。それを今後数年間のうちに1000人にまで増やすのが目標です。そのためにも新たに構想しているのが、「ファーストエイドブック」の制作。これはアメリカ発の、いわば「心の応急手当」を一般家庭やコミュニティに普及するためのブックレットです。心のつらさを抱える人に寄り添う時に「やっていいこと/やってはいけないこと」を簡潔にまとめた内容。これを日本の実情に合わせた内容に翻訳、再編集した手帳サイズのものを、できるだけ多くの人に配布していきたい、そこに入門講座の情報にアクセスできるQRコードを付けるなどして、講座受講の入り口にもしたい、と考えています。
このブックレット制作・配布を実現するための資金を募る「クラウドファンディング」が、今回のプロボノ支援のお題。資金獲得はもちろん、社会をよりよくすることに関心を持つ人たちに向けて、ストレスマネジメントについて知ってもらう機会としても期待を寄せています。コミュニティ・カウンセラー・ネットワークの皆さんの、初めてのクラウドファンディングへのチャレンジが始まります。
(本記事は2017年度の情報をもとにしており、活動内容等は現在と異なる場合があります。ご了承ください)
団体基本情報
- 団体名
- 一般社団法人 コミュニティ・カウンセラー・ネットワーク
- 活動開始時期
- 2014/平成26年2月
- 代表者名
- 田中 純さん
- 所在地
- 東京都練馬区富士見台
- ホームページ
- http://ccnj.info/
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進捗率
進捗状況
活動拠点となっている中央区の「協働ステーション中央」を訪問し、ヒアリングを行いました。
事前オリエンテーションを実施しました。
活動体験・現場視察を実施しました。
質問事項のリストアップを実施しました。
インターネット調査を実施しました。
当日用のプレゼン資料を作成して、作業に備えています。
当日オリエンテーションを実施しました。
プロボノワークを実施しました。
成果物の提案を実施しました。
支援先からのフィードバックを実施しました。
「ファーストエイドブック」の制作・配布資金の寄付を募る企画を作成し、クラウドファンディングサイトへの申し込みを済ませて、今回の1DAYチャレンジ成果物の納品が完了。クラウドファンディングサイト側での審査等手続きに数か月がかかるため、今後は支援先団体側で引き続きその工程を進めていきます。実際のクラウドファンディング開始は2018年2月頃を予定しています。
成果
初めてのクラウドファンディングへの挑戦に向け、寄付募集のメッセージや寄付者へのお礼など申請に必要な項目を短期間で整理・作成。
紛争などの非常事態でトラウマを抱えた人との向き合い方をまとめた、WHO版「サイコロジカルファーストエイド」を、日本にフィットするかたちの「日本版ファーストエイドブック」として制作するためのクラウドファンディング企画、というのが今回の支援内容。
事前に団体側と相談し、今回は、クラウドファンディングサイトへ掲載申請するための企画書制作を1日で実施することで合意しました。
1DAYチャレンジ当日は、日本版ファーストエイドブックの必要性を伝えるためのメッセージを言語化し、寄付を訴える対象を設定。目標額、寄付額ごとに用意するリターン(寄付者へのお礼内容)などを団体のみなさんとすり合わせながら、クラウドファンディングサイトに申請を行うところまで完了。サイト側での審査手続きに数か月かかりますが、今後は団体側で対応を進めながら、順調に進めば、来年(2018年)2月に実際の寄付募集のページが公開される予定です。団体の方も「申請までこぎつけることができ短期間で期待以上の成果だった」と喜んでいただきました。
【支援のその後】
プロボノの支援を得てクラウドファンディングを実施し、「日本版ファーストエイドブック」を1万冊制作しました。このブックレットは、年間30回以上のイベントで配布し、配布先は5,000人以上にのぼります。また、依頼された場合にはこのブックレットを使ってセミナーも行なっています。ブックレットを作成・配布したことにより、セミナーの依頼が以前の5倍ほどに増え、会員も以前の約1.6倍の80名に達しました。さらに、セミナーの開催が増えたことにより会員の講演機会が増え、自らが学び、人に伝えていかなければならないという当事者意識が育ち、モチベーションの向上にもつながりました。「普段の心のケアの理念と方法のさらなる普及」が現在の目標であり、課題でもあります。
[2019年7月、津田塾大学 森川ゼミ・伊藤(由)ゼミの協力により取材]
最終的にクラウドファンディングで目標の倍、100万円の寄付金を集め、"心の応急手当"についてまとめた冊子を、こちらも予定の倍の1万冊を、各地の民生委員(住民の立場で地域の相談役を担っている方)や熊本の被災者向け仮設住宅などに早速配布することができたそうです!
「ふだんのこころの応急手当」というこの冊子には、心に傷を持っていたり、ひどく悲しい思いをしたことがある方に、どんなふうに私達が日常的に寄り添い、声をかけるのがよいのか、基本的な心構えと具体的な言動例などが示されています。WHOの作成したファーストエイドブックなどを基に作成された内容になっています。
そして今回、大変嬉しいことに、冊子の後書きには「東京ホームタウンプロジェクトに参加したから実現することができた」というメッセージをCCNさんが載せてくださいました。さらには、今年2月に開催した東京ホームタウンプロジェクトの年度総括イベント「東京ホームタウン大学」でCCN代表の方と出会った方々も、有志で寄付金をくださったそうです。東京ホームタウンプロジェクトに参加いただいている皆さんの温かい輪をあらためて感じたエピソードでした。
団体のホームページで、クラウドファンディングへの挑戦について、さっそく告知されています。ぜひみなさんもご関心お寄せいただき、来年2月頃(予定)の開始をお待ちください。
http://bit.ly/2idQwo5
チームメンバー
- メンバー
- 安藤さん 岡田さん 讃井さん 田中さん 中野さん