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    地域づくりの台本

    こまじいのうち(文京区)

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    「こまじいのうち」まとめ

    「こまじいのうち」から運営上のヒントを得たいと思われている方へ

    まずお断りしておきたいのは、「こまじいのうち」の取材を重ねる中で私たちが考えた「運営のヒント」は、事実に基づいて客観的に確認できる事柄に絞り、ご紹介をさせていただきました。

    これらの事柄には、タイミングや機会、ご紹介させていただいた方々のキャラクター(個性)による要素も大きく、再現性・汎用性の観点から考えると、これが成功の鍵だと確信をもって言い切れるまでには至っておりません。

     ただし、これらが、「こまじいのうち」の円滑な運営に繋がっている事は間違いありません。それは、「こまじいのうち」に集う皆さんが、「楽しく」集まり、「楽しく」話をし、「楽しく」行動しているという事実からも感じる事が出来ました。

    一方で、「楽しさ」を維持しながら円滑な運営を実現するためには、運営するための良い環境・条件が揃っていることと、手厚い周囲からのサポートが不可欠であることも確認できました。そして、このプログラムでもご紹介していますが、文京区の地域福祉コーディネーターの存在、役割が如何に重要かという事も知る事が出来ました。

    その上で、以下に「こまじいのうち」と類似した活動を始めようと考えておられる方、既に活動はしているが何か運営上のヒントを探しておられる方に、この章をご案内致します。

    また、章の最後にはワークシートも準備致しましたので、併せてご活用ください。

     

    私たちプロボノチームが気付いたこと

    ここでは、「こまじいのうち」の運営において、「人」という観点から成功要因を考えました。その中でも、運営部分にフォーカスし、私たちなりの感想(気付き)も含め整理しました。

     

    Q:どのようにして周囲を巻き込んでいるのでしょうか [リーダーシップの発揮]

    《「こまじいのうち」では・・・》

     運営者やスタッフがまずイベント参加者となり、率先して楽しみ、同じ立場で活動をしていることが多くみられます。それらの場面では、参加者とスタッフという壁を感じることはありません。仲良さそうな参加者が実は初対面や落ち着いて話をするのは初めてと聞いて驚くことも・・・。

     

    《私たちが感じた気づきとは・・・》

     周囲に対して、良かれと思い「指示」をしたり「説得」したりするリーダーシップは、時として「煩わしさ」や「過干渉である」との感情を生じさせる危険性があります。「楽しさ」が人を惹きつける基本であるならば、十分に注意することが必要となります。

    周囲との意思疎通や相互理解が深まってくるまでは、同じ立場で自ら参画し、自らが自由な活動を率先して楽しんでいく「参加的」なリーダーシップをとることが大切であると考えられます。

     

    Q:どのようにしてみんなの本音を引き出しているのでしょうか [傾聴する力]

    《「こまじいのうち」では・・・》

     拠点での会話を聞いていると、他の人の発言や意見を頭ごなしに「否定的な発言」で打ち消す場面を見ることは殆どありません。したがって、会話自体が否定によって途切れることなく、予期せぬ方向を含め話題が膨らんでいくことが多いようです。

     

    《私たちが感じた気づきとは・・・》

     多くの参加者、特に初対面の人が最初から本音を言うことはないと思います。従って、額面どおりに聞いてしまうと状況を見誤る可能性が大きいと思います。

    相手の本音を引き出し「聴く」ためには、まず相手を受け入れることが必要です。本音をフランクに言ってもらえる仲間になるためには相手の考え方を含めて許容することが必要で、そのためには否定することによって感情的な悪印象を与え、活発な会話を阻害することは避けるべきと考えられます。

     

    Q:どのようにして、みんなのやる気を引き出しているのでしょうか [動機付けの要因]

    《「こまじいのうち」では・・・》

    拠点での活動や環境等についても、立場や年齢・性別等に関わらず意見や感想を言い合っているようです。当然スタッフも一緒に考えて意見交換することが習慣化しています。傍から見ると、特定のスタッフというより全員が適度に運営に関わっている様に感じられます。

     

    《私たちが感じた気づきとは・・・》

     企業とは違い、報酬や評価といったものを与える事で参加者やスタッフに動機付けすることは難しいです。参加者やスタッフが居心地の良さを感じれば、無理に動機付けするまでもなく拠点に足が向くようになり、「習慣」として集まり、話をしていくようになれば、仲間との関わりが日常になり、活動に前向きな姿勢になるのではないかと考えられます。

     

    Q:どのようにして外部の協力を獲得しているのでしょうか [交渉力の発揮]

    《「こまじいのうち」では・・・》

     拠点での活動に、社会福祉協議会や大学をはじめとする外部の団体の方が参加し、同じ机を囲んでお茶を飲んでいる状況は、協力してもらっている交渉相手という姿ではありませんでした。それは「こまじいのうち」の仲間そのものと私たちの目には映りました。

     

    《私たちが感じた気づきとは・・・》

     主に外部協力者との関係では、利害の調整という交渉手段は効果が薄いと思われます。

    効果的なのは、協力を得たい外部協力者を内部に取り込んで、楽しみや空間・時間を共有する仲間として外部協力者の内部化を図ることです。団体の活動へ顔を出してもらうよう促し(交渉・要請)、無意識のうちに仲間であることが当たり前に思われる対応をすることが有効な交渉の在り方だと考えられます。

     

    Q:意思疎通をどう運営にいかしているのでしょうか [コミュニケーション力]

    《「こまじいのうち」では・・・》

    代表者から「俺はこんな言い方しかできない」とか「難しいことはよくわからない」という言葉を聞くことがありますが、こういった言葉は自然と、周囲の連携や意思疎通を図るきっかけになっているようです。周りの方が阿吽の呼吸で助け舟を出している、という事もあるようです。

     

    《私たちが感じた気づきとは・・・》

     どのようなコミュニケーションをとるかについて、絶対的な成功方法はありません。

    ご自分の得意・不得意を自覚し、周囲の方で誰がどのようなコミュニケーションが得意であるかを知れば、最も効果的な人にお願いするコーディネートができます。役割を意識するあまり不得意なことまで自分で背負い込むことは得策ではありません。思い切ってみんなに頼りましょう。自分の弱みを恥じるのではなく、明らかにして”頼んでみる”ことで意思疎通ができ、運営の円滑化につながると考えられます。

     

    Q:どのようにより良い方向へ活動を継続しているのでしょうか [向上する心]

    《「こまじいのうち」では・・・》

     何気なくお茶の席で出た世間話やちょっとした思い付きが、口伝やノートで多くの人に広まることで思いもかけずに興味を引いたり、一緒にやりたいという賛同者が見つかったりすることがあります。トップダウンというより、日常活動から生まれたボトムアップが全員の協働活動や参画拡大を生み出しているように思われます。

     

    《私たちが感じた気づきとは・・・》

     向上心は大切ですが、具体的に向上させようと行動すると、想定しなかった軋轢や抵抗が表面化することが少なくありません。

    そのようなケースの多くは、どうしたら向上するかという戦術に気を奪われ、どのような向上の仕方が良いかという戦略的な思考が疎かになっています。最短(トップダウン)での活動が必ずしもベストな考え方ではなく、むしろコミュニケーションを広げる方法を工夫することが大切であると考えられます。

     

    以上

     

     

    いかがでしたでしょうか?

    この章が、皆さんの運営のヒントに繋がることを願っています。

    さて、別紙にワークシートを準備致しました。
    このワークシートは「こまじいのうち」の主な成功要因を抜粋し、皆様と一緒に考える事を目的に作成致しました。ご自身の状況確認に使ってみてはいかがでしょうか。

    〉ワークシートをダウンロード(PDF)

     

    〉多世代交流の場をもっと身近に!ソーシャルプログラム開発委員会レポート

     

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